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※裏注意
煙管のにおい。
しかもコレは…いや有り得ない。
でもアイツのモンだ。
それなら何故ここに。
銀時はふと足を止める。
日輪や晴太、月詠との雑談をしていた銀時は、その帰り道で嗅ぎ慣れた煙を感じた。
(…まさかな)
アイツがこんなところにいるわけがない。
確かに不法地帯の地下都市ではあるが、いくらなんでも考えが安直すぎる。
どうやら俺は、しばらく会わねーうちに錯覚まで起こすようになったらしい。
「……………。」
なんてったって世界は広い。
同じ煙管を使うボンボンなんて何人もいるだろう。
銀時は試しに辺りを見渡す。
やはり探している男は見当たらないし、気配も感じない。
錯覚だ、
そう頭の中で処理をしながらこのまま吉原でちょっと遊んでいこうと、踵を返す。
こんな身なりでも吉原の救世主様という特権を使えば少しぐらいサービスしてくれるだろう。
(……………いや、)
ここで面倒な事は起こしたくねぇ。
「はぁ…。」
銀時は頭を掻きながら素直に帰路をたどる。
面倒な事というのは、出くわして斬り合いになること、部屋に連れ込まれて好き勝手掘られること、全てをひっくるめた表現である。
「どんだけ毒されてんだか。」
仕方ねーから居酒屋の安い酒を自費で呑むか。
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