ボーダー級エイプリルフール
おまけの太刀川隊


※国近による国近のためのおまけ話。
エイプリルフール関係ない。
文章が幼稚なので想像し難いですが可哀想な人がいます。
少しでも不快に思ったらすぐにベイルアウトして下さい。






対トリオン兵大群の模擬戦。
今回は特別に少し改良して、
トリオン兵のリーダー格を手動で指示を出して操作できるようにしている。
国近が遊びやすいように携帯ゲーム機型のコントローラーまで準備した。
罰ゲームのために暇を見つけてちょこちょこ息抜きがてらに作ったがそれなりの出来だ。
格ゲー、FPSなどなどやり込んだ国近が神レベルの敵(太刀川隊)を倒してみたいという願望を叶えた。
もうこれ、エイプリルフール関係ないが、
ただの罰ゲームにしてはクオリティが高い。
仕事の合間で作れる代物ではないはずなのだが、エンジニア魂に火が付ついたのだ。
嬉々としてアキは作った。
因みにもう一つの作品は冬島が協力している。
エンジニア兼防衛隊員組は何をやっているんだか…。
普通なら呆れてしまうところだが、国近にとってはゲーム仲間であり、ゲームを作ってくれる素敵なエンジニアだ。

脱線しそうなので話を戻す。

ちょっと興奮気味の国近を横目に太刀川も出水も納得した。
あぁ、これがやりたかったんだな…と。
本当にアキは形ばかりのオペレーターだった。
「神威、お前何のためにいるの?」
「罰ゲーム終了するまで?
あと、システムに何かエラーが発生した時の対処のために…。
一応これ私と冬島さん独断でやってるので。
勿論責任は冬島さん持ちだから安心!」
「いや、どうなのよそれ」
「柚宇先輩のお願い叶えただけなので…私、うん」
アキの目が明後日を見ている。
それはこれだけでは終わらないことを意味していた。
「さぁさぁ、二人とも早く訓練室に入って!」
「…プライバシー保護のため人払いしている」
「は?プライバシー?」
何しようとしているのこいつら。
国近はコントローラーを持って戦闘準備OK。
アキは二人を見ようとしない。
今日はもう見るつもりもないらしい。
よく分からないがなんだかんだで国近に付き合うことにしたらしい太刀川隊両名。
とりあえず訓練室に入る二人を見てアキは合掌した。

『模擬戦闘開始』

そんなアナウンスで始まる。
いたって普通の模擬戦闘だった。
ゲーマーな国近が操作しているせいか、
いつもと違うトリオン兵の動きが読みにくく、ある意味いい訓練だ。
トリオン兵の機能自体はオリジナルと同じだから国近の操作が上手いのだろう。
いい感じにあの太刀川とやりあっている。
「わー流石うちの隊、強いな〜」
アキの隣で出水の変化弾にやられた国近が頬を膨らませている。
画面外からの攻撃で避けきれなかったらしい。
この技反則だよね、とブーブー言っている。
傍から見るとその仕草は可愛いのだが…
この後に待ち受けていることを考えると可愛くなかった。
国近はゲームがやりたいのか、太刀川たちとじゃれあいたいのか、それとも日頃の鬱憤を晴らしたいのかどれなんだろうとアキは考える。
国近の性格からして鬱憤を晴らすのは違うだろうが、なんだろう。
画面に写っている太刀川と出水を見て何とも言えないものが込み上げる。
アキとは対照的に国近はケラケラ笑っている。

「あはは!凄ーい!太刀川さんいつもと服が違う!ファンタジー主人公の服あわない!!」

そうなのだ。
太刀川たちはお互いの姿をまだ見ていないため気づいていないが、
二人ともいつものトリオン体とは見た目がだいぶ違っていた。
トリオン体の換装には現在の姿を元にするのが大半だがメモリに保存すればその状態に換装できる。
小南のトリオン体は中学時代の髪型を登録しているので、
今も換装するとその時の姿になるのと同じで、
登録さえすればどんな服装でも可能だ。
通常なら本人が選べるのだが、
そこはアキが細工して4月1日限定で強制的に指定のトリオン体に換装している。
因みに太刀川の姿は今、国近がハマっている某ファンタジーゲームの主人公の服らしい。
何系、かっこいい系?ワイルド系?
服装のセンスがないアキにはよく分からないが、なんということでしょう。
太刀川に全くあっていない。
なんだかんだでいつもの隊服があっているんだなーと実感した。
ちなみに服の登録は冬島が行っている。
ないからリソースを作った。何やっているんだエンジニア。
対する出水はもう別人だ。
顔はそのままで髪型だけが違う。
なんか国近が出水にそっくりなヒロインを見つけたらしい。
本当に似ているか試したいからちょっと弄ってというやつだ。
今回の本命?である。
「ほら、やっぱり似てる!!」
国近はゲームの攻略本に載っているヒロインをアキに見せる。
本を見た時はそう思わなかったが、なんということでしょう。
髪型を合わせただけだが、どこからどう見ても女性そのもの。
凄く似ているなんてそんな言葉で片付かない。
寧ろ御本人では?といいたくなるくらい再現度が高い。
イケメンは女装しても似合う法則が立証された瞬間だった。
因みに服装再現は全力で拒否をした。
これでも一応学校の先輩だ。それだけは止めようとアキの思いやりだ。

「あ」

二人の姿を見て茫然としていてすっかり忘れていたが、
太刀川と出水が鉢合わせした。
お互いいつもと違う姿に、腹筋崩壊を起こしている。
「太刀川さんその姿なに!?」
「その声…お前出水か!?何、女装してるの?お前そんな趣味あったっけ?」
お互いの言葉に二人は自分を改めてみる。
今頃気づいたのか太刀川はそういえば服がいつもと違うなといい、
出水はとりあえず今が住宅街MAPなので、
窓に近寄り自分の姿を確認する。
こんなことする人間は限られてくる。
出水の額に青筋が…。

出水はベイルアウトして作戦室に乗り込んだ。

「これはどういうことだアキ?」
「先輩、綺麗な顔で怖い。私泣きそう」
「そういうことは本当に泣きそうな状態で言え。
何、お前俺に恨みでもあるの?」
「先輩、女子の胸倉掴むとかセクハラ」
「じゃあ俺と模擬戦やるか?10本勝負で全部ハチの巣にする」
「理不尽すぎる。立案したのは柚宇先輩」
「そうだよ〜お願いしたらアキちゃん作ってくれたんだー」
「断れよアキ」
「いや、太刀川さんの服と出水先輩のそれ、やったの冬島さんだから」

その時太刀川が帰ってきた。
笑いすぎてベイルアウトしたらしい。
ゲラゲラ笑いながら出水に言う。
「出水スゲー!完璧女だった。
もう一回トリガー起動して。俺写メるから!」
太刀川が地雷を踏みに行った。
何も考えてなさすぎる。
「とにかくアキは責任とってもらうからな」
「は?」
「今から月見さんのとこ連れて行く」
「え、ちょっとそれは洒落にならない!
待て、出水先輩!」
月見のスパルタを身に染みている太刀川はアキに同情の目を向けながら二人を見送った。


後日、模擬戦データを抽出され、太刀川のコスプレや出水の女装姿が一部の隊員に流出されることになるとは…誰が想像しただろうか。
暫くの間アキはサウンドバックにされる未来が確定したのであった。
…後輩ってツライ。


20150403


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