彼等の白き日々
恋愛戯曲
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待ち合わせしているとなんだか周りが気になったりしない?
私は凄くする。
お菓子屋さんから出てきたマッチョなお兄さんとイケメンが手にしている買い物袋を見て、
今日は何を作るのかなーとか。
ツンツン頭のお兄さんと白髪の弟?が一緒に歩いているのを見て何を買うのかなーとか。
男女が一緒に歩いているのを見るとあの人たち恋人なのかなーとか。
それがお兄さんお姉さんだと大人っぽくて羨ましい。
私もあんな風に見られたりしないかなーとか考えちゃう。
うん、私ね、今からデートなんだよ。
相手は二宮さん、年上だよ?
2つしか年が離れていないはずなのに見た目は凄く大人っぽい。
それに比べると私はまだまだ子供……に見えるんだろうな。
この前一緒に歩いてたら妹さんですかって言われたし。
私は凄くショックだったけど、
二宮さんちょっとイラッとしてたのは覚えてる。
恋人だからさ、
私は気づくと好きって言っちゃうんだけど、
二宮さんはあまり好きって言ってくれない(そもそも言うタイプにも見えないんだけど)
寧ろ気軽に好きなんて言うなって言ってくる。
軽い気持ちじゃないんだけどさー言い返そうと思ったら二宮さんちょっと赤くなってるから、
これがいわゆるツンデレかと思ったらちょっと可愛いところがあって意外というか……。
私の彼氏かっこよくて可愛いとか意味分からない!と言うくらい私は二宮さんのことが好きで、
一生ついていきます!って感じだし、
正直二宮さんに何されてもいいわけで――……。
つまりその……そういうことです。
キスしたいし、もっと仲良くしたいわけです、はい。
でも一番はもっと好きって言って欲しいので……
ショーウインドーに映っている自分の姿を見る。
高校も卒業したし、羽目を外さない程度におしゃれもしてる。
大丈夫、今日の私は可愛い。
自分に言い聞かせて気合を入れる。
よしっ!
「何してるんだ」
「わっ!?
に、二宮さん!?
約束の時間より早くないですか!!?」
「それを言うならお前の方が早いだろう。
もう少し早くくれば良かったな」
二宮さんが舌打ちをする。
こういう些細なところが年上だけど可愛いって思っちゃうんだよ!
あー二宮さん大好きだー!
……ってそうじゃない!!
「何を百面相してるんだ」
「してないですよー」
恥ずかしくてわざと剥れてみる。
視線を少しずらしたら二宮さんが紙袋を持っているのが見えた。
「二宮さんそれなんですか?」
「お前は待っているという事ができないのか」
「だって気になるじゃないですかー」
私の言葉を聞くと二宮さんはどうするか一瞬考えて、
それから素直に渡してくれた。
多分、二宮さんのプランでは渡すのはまだ先だったんだろうけど。
でも好奇心には勝てないの。
中を見てみたら小さな花束が入っていた。
しかもそのまま飾れるように陶器に入ってる。
「わ、可愛い!」
見ただけで胸がときめく。
「でもなんだか意外ですね。
二宮さんって薔薇の花束のイメージなんですけど。
もっと、こう大きいの」
「お前は馬鹿か」
イメージを言っただけなのにマジで返されて胸に突き刺さる。
そんな言い方ないと思うんですけど。
言い返そうとしたら二宮さんが真面目な顔して言う。
「アキに贈るのに、俺のイメージにあわせても仕方ないだろう」
急に顔が熱くなる。
それって二宮さん!つまり……
「私のこと考えて選んでくれたってことですか!?」
「何を馬鹿なこと言っている。
アキに似合うものを選ぶのは当然だろう」
何言ってるんだと怪訝そうな顔をして見てくるけど、
そんなこと気にしない。
だって私のことを考えてって、それって凄く嬉しい!!
「二宮さんの私のイメージってこの花束みたいに可愛いってことですか!?」
「……」
しまったと言わんばかりに視線を逸らす二宮さん。
でも、もう遅いですよ。
さっき堂々と私に似合うものを選ぶのは当然だって言ったの。
私しっかり聞いてたんだから!
「二宮さん!
私、二宮さんのこと好きです!大好きです!!」
「……知ってる。
だから少し大人しくしてろ」
「二宮さん!」
「なんだ」
「私のこと好きですか?」
「嫌いな奴に花を贈らない」
「そうじゃなくて……」
意味が解ってるのに答えてくれないのずるいって抗議したら、
二宮さんの口角が上がる。
それは悪戯っぽい子供のようで、それでいて少し艶っぽい。
「あと2年したら愛を囁いてやる」
そう続けられた言葉に……もう!
本当ずるいと思う。
<20170314
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