君に贈る白い薔薇
お前しかいない
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「この前はありがとうな」
そう言って渡されたペーパーバック。貰えたことに私は舞い上がる。
今日はホワイトデー。
先月イコさんにバレンタイン渡したから貰えるだろうなって思ってたけど。実際に貰えると本当に嬉しい!
「ありがとう!」
中が気になるなーってペーパーバックに視線を向けて……でもここで開けるのはちょっと食いしん坊に見られるかな?
ちょっと迷ってイコさんを見たら凄くそわそわしている。
私以上に中が気になっているのかな?
イコさん男前な顔している割に行動が可愛い。
ここは便乗して目の前で空けちゃおう!
ペーパーバックを開き中身を取り出すと可愛らしいラッピング。
しかもお店の名前とか書いてないんだけど……これってもしかして――。
「イコさん手作り!?」
「せやで。しかも初披露で限定一個や。お得やろ?」
イコさんが料理もするっていうのは聞いていたけど作ってきてくれたんだ?
言葉が販売トークみたいで思わずにやけちゃう。
「なんや笑う程嬉しいんか?」
「うん」
当たり前だよ!
何度だって伝えたい。
だから私は言葉にする。
「凄く嬉しい」
イコさんが私のためだけに作ってくれたってことでしょう?
凄く特別じゃない!
ラッピングだって自分で選んで包んでくれたんだよね。それを想像すると胸がじわっと温かくなる。
イコさんと目が合う。
先程までそわそわしていたのはどこへいったのか。
いつもみたいな真っ直ぐな視線にどきりと胸が跳ね上がる。
「それからもう一つあるんや。ガラじゃないのは分かってるけど……貰ってくれるか?」
そう言って渡されたのは一輪の白い薔薇。
「俺が柄でもないことするの、世界中探してもお前しかおらんねん」
20180314
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