降谷side.
「はぁ…」
金曜日。いつもなら嬉しいはずの週末も、今週はため息ばかりついている。自覚はあるのだが、気を抜くとつい出てしまうそれに「うるせぇ!」と松田がいらついている。
「どうしたんだよ降谷ちゃん」
松田達から離れて自分の部屋へ戻ろうとすれば萩原が僕の肩に腕を回してそう聞いてくる。
「別に…何でもない」
僕の名前さんへの気持ち、いやそれだけではなく僕達の関係にすら気付いているだろう萩原にも話す気にはなれない。いいから今は1人にしてくれ。
「あー、そういや名前ちゃん今週末は彼氏と温泉旅行だっけ。そりゃあ降谷ちゃんもそうなっちまうわなぁ。よりによって温泉旅行とか、えっろ…」
ヘラヘラしながら地雷を踏みまくる萩原の腹を思いっきり肘でどついてやった。
そう。先週末、いつものように名前さんの部屋で過ごしていたときのこと。情事後、「来週、よかったらどこか出掛けませんか」と誘った結果、「あー…来週は彼氏と温泉旅行に行くの。ごめんね」と見事に振られてしまったのだ。今まで外でデートをしたことはないし、僕なりに意を決して誘ったつもりだった。それがただ断られただけではなく彼氏と泊まりで旅行だなんて言われたら…さすがの僕も荒れたくもなる。まあ、彼氏持ちの女性と関係を持ったりデートに誘っている時点で強く言える立場ではないんだけれども…それでもどうしてもやるせない気持ちになってしまう。
「名前ちゃんすげー楽しみにしてたしなぁ、同情するぜ。よし、じゃあ今日は気晴らしに合コンへレッツゴー!」
「それ以上僕に話しかけたらコロス」
殺気の宿った目で睨みつけると萩原は松田達の元へ走って逃げていった。まったく、デリカシーのないやつだ。普段女性に見せる気遣いを少しでも友にかける気持ちはないのか。
自室に戻ってベッドへ倒れ込むと、枕に顔を埋め本日何度目かのため息を溢した。
・・・
翌週、仕事終わりの名前さんといつものように一緒に帰る。一週間会えないだけでも長く感じるというのに、二週間会えないとなると僕の名前さん不足は深刻化していた。そのせいか、店に入って名前さんの顔を見た瞬間嬉しくてたまらなくなった。それなのに、名前さんの薬指には今まで見たことのない指輪がはめられていた。デザインからして婚約指輪ではなさそうだが、はめているのが薬指なだけに意味を考えてしまう。いくら考えたって、意味がわかったって、僕にはどうすることもできないというのに。名前さんも名前さんだ…僕と会う日くらい、外そうとは思わないのだろうか。
名前さんの部屋に着き、「一緒に飲み直そっか、なんか作るよ」と言う名前さんを後ろから抱きしめた。
「会いたかった…」
口から溢れ出た苦しいほどの気持ちを伝えると、僕のほうに向き直った名前さんは嬉しそうに微笑んだ。
「私も零に早く会いたかった」
よく言うよ…他の男と温泉旅行に行ってたくさん抱かれてきただろうに。そんな指輪まで貰うくらい、順調なくせに。腹が立ってしょうがないのに、名前さんからの「会いたかった」に内心浮かれてしまっている自分がいて悔しい。ああ、これが惚れた弱みってやつなのか。
名前さんの唇に自分唇を重ねて二週間ぶりのキスをした。あったかくて、柔らかくて、この距離だからわかる名前さんのいい匂いが鼻をかすめて、もう我慢などできるはずもない。
名前さんを抱きあげるとベッドにおろし、上に重なる。
「ご飯より先に…いい?」
「だめって言ったら我慢できる?」
「できない…」
「かわいい…私も早く零が欲しいよ…」
そう言ってまた優しく笑う名前さんのかわいい顔に触れると、ゆっくり唇を重ねた。はやる気持ちを抑えながら、丁寧に名前さんの舌を絡めとる。粘着質な音を立てて、お互いの唾液が混ざるのを意識させるように。
「…ん……ふっ…」
キスをしながら服を脱がせていき、身包みを全部剥いだ。同時に僕の服は名前さんの手によって脱がされ、お互い何も身に纏っていない状態になる。
何度見ても名前さんの身体は綺麗で、その上いやらしい。細いのに曲線がかっていて、どこを触っても柔らかい。舌を絡めながら胸を揉み乳首を指で擦ると、塞いでいる口から小さく「んっ…」と鼻にかかった色っぽい声が漏れる。名前さんのすべてを見逃したくなくて、僕のキスに応じながら快感に耐える姿を見つめていると名前さんの目が薄っすらと開いて、「キスしてる顔…そんなに見ちゃだめ…」と怒られた。かわいい…。
胸を手で揉んだまま乳首に舌を当てると口を塞いでいない分、名前さんがさっきよりも大きな声で可愛く鳴く。たくさん唾液をつけてちゅ…ちゅぱっ…ぢゅっ…と音を立てながら吸うと可愛かった声はどんどんいやらしくなっていく。
「気持ちいい…?」
「…ぁ…んっ…気持ちい…っ」
頬を赤く染めながら僕の頭を撫でてそう言う名前さんに、自身が更に硬くなるのを感じた。
「もっと舐めてほしい…?それとも、もう下触ってほしい?」
「ん…両、方…っ」
「我儘だな、困った人だ…」
乳首を舌先で転がしながら名前さんのソコに指を当てると、すでにトロトロになって溢れていた。
「ココ、すごいことになってる…」
そう言ってナカに入れずに愛液を絡めた指で入口を撫でると名前さんがぎゅうっと抱きついてくる。
「言わないで…」
かわいい。僕で感じて早く欲しそうにしてる名前さんがたまらない。
「指、一気に2本入れるよ?」
「あぁ…んっ…あっ…」
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てて僕の指を飲み込んでいく名前さんのいやらしいソコからどんどん蜜が溢れてくる。溢れれば溢れるほど音も大きくなって、静かな部屋に僕の指の動きに合わせて淫らな水音が響き渡っている。
「はぁ…聞こえる?やらしい音…」
「あぁっ…やぁ…意地悪…っ」
「いやらしい…彼氏がいるくせに、僕の指でこんなに溢れさせて…」
「あっ…ああっ…あぁあああっ」
指の動きを早め、乳首と同時に名前さんのいいところを激しく刺激すると名前さんはぎゅうっとナカを締めつけて達した。
「気になってたんだけど…この指輪、どうしたの?」
胸から顔を離し、名前さんの顔の横に腕を置いてそう問い詰めると、「彼氏から貰ったの」と悪びれもせずに答える。別に、わかってたことだけど。
「そう…まさか結婚とかしないよね?」
「まだしないかな、ただのペアリング」
「…そっか、ならいいや」
まだってなんだよ。いずれする気なのか、僕の知らないそいつと。名前さんと同じリングをはめているであろう見たこともない男に嫉妬心がむくむくと湧いてしょうがない。
「妬いた?」
僕の心を見透かすように、かわいい顔をして聞いてくる名前さんに色んな感情が押し寄せてきて、でもそれを表にしたら負けな気がして無理矢理抑え込む。
「別に。でも…意地悪はしたくなったかな」
そう言って唇を重ねると、名前さんの愛液でベトベトになった僕の手を名前さんの手に恋人繋ぎで絡めてぎゅっと握り僕で感じた彼女のいやらしい液でそのリングをじっくり汚していく。
手を繋いで舌を絡めながら、僕の大きく反り上がった自身を名前さんのソコにあてがうと、さっきの指と同じく撫でるように擦り付ける。まるで上と下両方の口でキスをしているかのように。
キスで言葉を発せない名前さんの腰がやらしく動いて、わざとなのか無意識なのかはわからないが早く挿れたそうにしているのがかわいい。
ちゅっ…と音を立てて唇が離れると、「零…今日危険日だからゴムして?」と名前さんは言った。本当にそうなのか、それとも彼氏以外との可能性を極力避けたくなったのか…嫉妬に狂っている今の僕の頭にはすべてがそういう風に思えてしまう。
「わかった…」
そう返事をすると名前さんの入り口を撫でていた自身をそのままずぶっ…とナカに挿れた。
「ぁあっ…零っ…!」
名前さんの膝裏を持って一番奥までぐぐ…っとねじ込むと、子宮に当てて擦り付ける。
「我慢汁でも、こうやって直接ぐりぐり塗りつけたら妊娠しちゃうかもね…?」
「あんっ…そんな、ああっ…零、ダメ…っ」
「そんな可愛い声出されたら、もっと出ちゃうよ…っ」
名前さんの脚を更に大きく開いて奥を突くと名前さんがギュッとシーツを掴んでいやらしい声で鳴く。その姿が余計に僕を煽って理性を壊される。
「あぁっ…あぁあっ…!零、…零っ…お願いっ…」
「ダメ…もっと僕で気持ち良くなって…名前…」
名前さんの身体をぎゅうっときつく抱きしめると、腰をパンッパンッと何度も打ち付ける。大きく揺さぶられる名前さんも僕の首にぎゅうっと抱きついて、耳元にダイレクトに喘ぎ声が届くのがやばい…。
「はぁ…はぁ…気持ちいい…?」
「あっあっ…うんっ…すごい気持ちいいっ…」
「ああ…好き…好きだよ名前…っ」
「零っ…私も、好きっ…」
嬉しくて、好きな気持ちがどんどん膨らんで、腰を打ち付けながら口付けた。ちゅっ…じゅるっ…ちゅうっ…と音を立てながら気持ちを伝えるように全身で絡み合う。
「あー…やばい…出そう…このまま奥に出していい…?」
「零…ダメっ…」
「出したい…名前…」
「赤ちゃんデキちゃうからっ…」
「僕は…ん…デキて、ほしいんだけど…?」
「んっ…もう…何、言って…」
「名前を、一生…僕だけのものにしたいからねっ…」
「ああっ…零っ…激しっ…あっ…奥ダメっ…あんっ…ああっ…あぁあああっ」
「んっ…ああ…やばい…くっ…!」
名前さんをきつく抱きしめて激しく腰を打ち付けると僕の精液を名前さんの一番奥に出した。自分でも恥ずかしくなるくらい、いつもより多い量が出ているのがわかる。
名前さんにキスを落として見つめると、困り顔で「ダメって言ったのに…」と微笑んだ。そんな名前さんがまた可愛くて、ナカに自身を挿れたまままたキスをする。
「そんなかわいい顔されたら、また奥に出したくなる…」
「もう…バカ…」
「僕は本気だよ?」
「あっ…ちょっと…」
すぐにまた硬くなる自身をナカで動かすと卑猥な水音が鳴り出す。身体を起こし名前さんを抱きあげると対面座位で下から突きあげる。ぶるんぶるんと大きく揺さぶられる胸に吸い付くと名前さんは僕の首に腕を回していやらしく鳴き声をあげ、更に僕自身を熱くさせる。
「ほんとにいやらしい…すごい興奮する…っ」
「あっ…また零のおっきく…っ」
「名前さんだって…締めつけすごいよ…?」
「あぁっ…ん…あっ…あんっ…」
「もっとその声聞かせて…」
「やぁっ…零……零っ……!」
「名前さん…キスして…」
名前さんの身体をぎゅっと抱きしめてキスを強請ると名前さんもぎゅっとしてきて唇を重ねてくれる。僕の口の中に名前さんの舌が入ってきて熱くなったお互いの舌が絡み合う。ああ…やばい…またっ…
「んっ…イきそ…そのままキスしてて…?」
「零…んっ…んん…ぁ…ぁああっ…」
名前さんの腰が動かないように掴んで下から激しく突きあげる。塞いだ口から漏れる名前さんの淫らな声と僕の荒い呼吸を感じながら、名前さんの最奥にもう一度射精した。
「零……」
「好きだよ、名前さん」
「うん…知ってる」
「名前さんも僕のこと好き?」
「さっき言ったでしょ?」
「またそうやってはぐらかす…今日は寝かせませんから」
そしてこの後も何度も何度も名前さんをいじめて奥に出し続け、気付くと外が薄っすら明るくなっていた。
「やっぱり妬いちゃうから僕の前ではコレ…外してくださいね」
そう言って隣で眠る名前さんの指からリングを抜き取ると床に放り、無駄なものがなくなった綺麗な薬指にキスをした。
いつか僕が、あなたにもっと相応わしい素敵な指輪をはめてあげますから。