新しい挑戦へ

桐皇学園控え室―――





若「よーしゃ、決勝リーグ初戦まずは、圧勝―――!!」



控え室に帰って来て早々、若松が大声を上げた。




今「分かっとる、そんな騒ぐなや」



そんな若松に今吉が制止をする。
そんな中、青峰は何も言葉を発することがなく、ベンチに座っていた。



原「ホラホラ、じゃあ早く帰りましょう。反省はアトです」

桐「秀徳倒したからどんなもんかと思えば」



すると試合中ベンチにいた桐皇選手が先ほどの試合を笑っていた。



桐「特に11番雪乃とか終盤全然クソだし、最後までムキになってサブっとかおもったし。とっとと諦めりゃいいの」



青峰は桐皇の選手の言葉にブチ切れ、胸倉をつかみロッカーにたたきつける。



桐「ぐっ!?」

青「試合も出てねーのにピーピーうるせーよ。耳障りだから少し黙れ」

桐「ぐぇ…」

桐「青峰、何やってんだ離せっ!」



他の桐皇選手に止められ、青峰は手を放す。



桐「げほっ、なんだよ急に…」



青峰は背を向け、控え室を後にした。



桃「(…青峰君)」









誠凛控え室―――





火神は悔しさからロッカーを殴る。



火「…くそっ」

日「あたるな火神、切り替えろ!」

リ「そうよみんな!まだ2試合あるんだからね。落ち込んでるヒマなんてないわよ!!」



リコの一喝が飛ぶ。
しかしみんなの表情は浮かない。



伊「(…分かっている…けど試合が終わるとじわじわくる…やっぱけっこーきつい…わ)」



リコはみんなの表情を見て察したのか、眉根を寄せる。



リ「反省はあと!とっとと帰るわよ!火神君はちゃんと病院行かなきゃダメよ!」

火「ウス」



ようやく泣き止み、着替え終えた雪乃はみんなのいる控え室へと来た。
その目は赤く腫れあがっており、痛々しくも見える。
そんな雪乃を火神が近づいた。



火「ホラ行くぞ雪乃」

『…はい』

火「…なあ…これが限界なのかもな」



火神はぽつりぽつりと話し始める。



火「正直もっとやれると思ってた。けど結果このザマだ」



火神は雪乃に背を向けた。



火「圧倒的な力の前では、力を合わせるだけじゃ…勝てねーんじゃねーのか?」



火神の言葉に雪乃は目を見開く。
そして体が固まってしまい、動けなくなった。





オレに勝てるのは

オレだけだ





約束します、青峰君に勝つと





さくっと勝って、目ェさましてやらぁ





勝ってから言えよ





一緒にいたい、お前となら…桐皇に来い。またバスケやろうぜ





雪乃は唇を噛みしめ、壁に拳を叩きつけた。









二日後―――





神奈川県にある海城高校の体育館では笠松一人がシュート練習していた。
そこに黄瀬が現れる。



黄「あれ?センパイ」

笠「あ?どうしたんだオマエ、決勝リーグ最終戦観に行ったんじゃねーのか?」

黄「行ったっス、つーかそれよりセンパイ。1対1(ワンオンワン)…しねっスか?」



黄瀬は表情は笑ってはいるが、どこか陰っていた。



笠「あ?やだよなんだよ急に」

黄瀬「いやーなんかムショーにバスケがしたくなったんス」

笠「つか結果はどーだたんだよ」

黄「センパイ先攻でいっスよ!いて」

笠「聞けよ!!やらねーよ!!なんなんだオマエ」



話を聞かない黄瀬に笠松の蹴りが飛ぶ。









私達は残り二日、全力で挑んだ



しかし桐皇との戦いの爪痕は確実に残っていた



火神君の欠場、チームの不協和音



そして雪乃ちゃんの突然の不調。今まで何度もチームを救ったパスはミスを連発し、見る影もなかった



満身創痍で最後まで戦うも



二日目、対鳴成高校―――惜敗



三日目、桐皇学園が全勝。しかし誠凛が勝てば3チームが一勝二敗で並び、インターハイ出場への可能性が残る



全てを賭けて挑んだ最終戦





それでも挑む者全てが勝者となれるわけではない





私たちは負けた、そして



誠凛高校のインターハイへの挑戦は終わった―――









―――だが



全てが終わったわけではない





リコは携帯を取り出し、ある人にメールを送った。





終わるということは同時に



始まりを意味する―――つまり





リコがメールを送った相手は携帯のバイブ音に気づき、携帯を開く。




『ごめん、負けちゃった』そう一言が書かれていた。





?「そっか…間に合わなかったか…」



ベッドの上には誠凛の7番のユニフォームとボールが置いてあった。





新しい挑戦へ―――





リコの携帯に新着メールが届き、リコは携帯を開く。




するとそこにはこう書かれていた。





『でも、これで終わりじゃないだろ?』









『新しい挑戦へ』完