雪乃の気持ち

桐皇学園にダブルスコアで大敗、鳴成に僅差で敗退、さらには三大王者の泉真館にも敗れ、I・H出場を逃してしまった誠凛高校。
一同はミーティングをするために誠凛メンバーは誠凛高校へと集まっていた。



ミーティング中もメンバーはショックや悔しさで表情が陰っている。

最後にリコの気持ちを切り替えるように言われるが、どこかリコも空元気にも見えた。



ミーティングを終え、それぞれが帰り支度をする中、雪乃もカバンを持ち、家に帰ろうとする。



リ「あ、ごめん雪乃ちゃん…一つ聞かせて」

『?』



リコに引き留められ、雪乃は少し首をかしげる。
誠凛メンバーも帰り支度をしていた手を止め、二人に視線が集まる。



リ「桐皇学園の試合の後の青峰君の言葉…雪乃ちゃんはどうしたいの?」

誠「!!」

『………』





『たしかにオレはお前にひどいことをした。だがお前のことを引き出してやれるのは光(俺)だけだ。……一緒にいたい、お前となら…桐皇に来い。またバスケやろうぜ』





思い出されるのは青峰の言葉…

そして雪乃のその言葉に対する反応。





リ「あなたの本当の気持ちが知りたいの。もし雪乃ちゃんが桐皇へ…いいえ、青峰君のところに行きたいというのならば、私は止められないわ」

小金「何言ってんの!?」

リ「だってそうでしょ、もし桐皇へ行きたいって彼女が言ってカントクの私が止めたところで…」

日「…たしかにな」

小金「日向…」

日「雪乃、お前が本当にオレ達と一緒に日本一になりたいって思わないと全員一丸っていうオレ達のプレイスタイルじゃなくなる。お前が一緒にプレイをしたいと思う、一緒に日本一になりたいって思う方を選んでくれ」



全員の視線が雪乃に集まる。



『…正直に話します』





雪乃はぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。





『中学時代、私と青峰君はお付き合いをしていました』



何となく察しはみんなついていたが、雪乃の口から実際に聞くとなるとやはり驚愕してしまう誠凛メンバー。
火神は胸の奥がチクりと痛むのを感じる。



『でも青峰君の才能が開花してからは……』



雪乃は俯き、皆からは前髪によって表情は見えにくいが、泣きそうな表情をしていることは察しがつく。



小金「過去形ってってことは…今は?」

日「コガ」



無神経ともとれるかもしれない小金井の質問に日向は咎めようとしたが、雪乃は小さく首を振った。



『中学三年生の最後の試合のあるきっかけによって、一方的にではありますが、私からお別れを申し出ました』



雪乃はジャージの裾を強く握りしめる。



『正直、彼のことを今でも好きです…今日の青峰君の言葉、驚いた半面、心の奥底で嬉しいと思ってしまった自分もいました』



誠凛メンバーは驚愕する。



『昔の彼に戻ってくれるんじゃないか…誰よりも楽しそうにバスケをしてくれるんじゃないかと思ってしまったんです。だから嬉しかった……私は彼が楽しそうにバスケをする姿が一番大好きでした』



誠凛メンバーは雪乃が桐皇へ行ってしまうんではないかと不安で表情が硬くなり、雪乃の次の言葉を待つ。



『……でもこれだけは言えます。私は誠凛メンバーの皆さんが大好きです。皆さんの楽しそうにバスケをする姿が大好きなんです。それに今の私の光は火神君です。たとえ青峰君が昔のように戻ってくれても、私は誠凛高校バスケ部の黒子雪乃でいたい。皆さんと一緒に日本一になりたい!』



雪乃は俯いていた顔を上げると大粒の涙が頬を伝い、それでも一人一人と目を合わせ、自分の気持ちを精一杯伝えようとする。
リコも涙を流し、雪乃を抱きしめた。



リ「ごめんね…気持ちを聞かせてくれてありがとう』

日「ありがとな」

小金「雪乃が桐皇へいくわけないよな〜」

伊「一番心配そうにしていたじゃないか…」

降・福・河「雪乃〜(泣)」




日向や誠凛メンバーも雪乃の頭を撫で、ホッと息を吐いた。
ただ火神だけは苦しそうな表情を浮かべ、輪の外にいた。



火「(今でも…か……)」





『雪乃の気持ち』完