捨てることだ
数日後、誠凛高校では練習試合が行われていた。
相手は徳進高校。
スタートメンバーはセンターサークルに集まっているが、徳進高校はなにやら苛立っている様子だった。
徳「都ベスト8だかなんだか知らねーが…」
徳「ナメたことしてくれんじゃねーか」
福「なあ降旗…オレ達一年だってそりゃあ試合に出たいさ。ユニフォームも一応もらってるし」
降「…あぁ」
福「けどこれはさ?いきなりすぎるよな?」
福「スタメン全員一年とはな!」
センターサークルに集まった誠凛のスタメンは火神と雪乃は当たり前だが、二年の姿はなく降旗たちがスタメンだった。
あまりのプレッシャーに降旗たちは体を震わせる。
徳「カチンと来たぜマジ。ボロカスに負かして追い返すぞ!!」
徳「オウ!!」
降・福・河「(えええ〜)」
昨日―――
リ「明日から3日連続練習試合を組んだわ」
伊「練習試合?夏休み直前になんでまた…?」
リ「今のみんなの課題をより明確にするためにね!そして夏休みは楽しくみっちり猛練習ってワケよ♡」
伊・小金「(あ…ああ!!ああぁあ〜〜〜〜…)」
楽しそうに話すリコに恐怖を感じる誠凛メンバー。
リ「だから今回は試合に勝つ!だけじゃなくて考えてプレイすることを意識してね!」
誠「オウ!!!」
木「なあリコ。一つ頼みがあんだけど」
木吉がリコに話しかける。
リ「…え?」
(END)
伊「カントクこれ…どーゆーつもり?」
誠凛ベンチでも木吉を除く二年生たちも戸惑いを見せていた。
リ「あいつがどーしてもね。一年生の試合を見たいって…」
日「鉄平!なんだよ一体?」
木「ん〜?」
小金「んにゃ、オレわかったよ!」
小金井は得意げに笑い始めた。
小金「この試合たぶん負けるでしょ?」
日「は!?」
小金「最近火神はプレイが自己中になってる。けどそりゃじゃ勝てない。だからわざと負けさせて一人が強いだけじゃ勝てないことを教えるつもりっしょ?」
コート内では―――
火「…雪乃」
火神が雪乃とすれ違いざま話しかけた。
火「もうオレにパスはしなくていい」
『…え?』
突然の火神の申し出に雪乃もほかのメンバーも目を見開く。
降「なっ!?(最近マジ変だぞ火神!!一人でやんのかよ!?)」
誠凛ベンチでは―――
木「…あぁ、なるほど!すげーなコガ」
小金「あれっ!?」
思わぬ木吉の言葉の返しに小金井は拍子抜けしてしまった。
小金「えっ…いやだってさ…まぁ…なくはないけど…」
木「火神(アイツ)ってさ…そーゆーの言われなきゃ気づかないほどバカなのかな?」
小金「えっ、う〜ん…」
木「迷いや悩みは感じなかったけどなオレには…むしろ何かに気づいてほしいとしたら雪乃(カノジョ)の方だよ」
試合は進み、火神は徳進のディフェンスをものともせずに得点を重ねていく。
徳「(高ぇえ!!こんなの止められっこねぇよ、クソっ)」
雪乃も降旗からパスをもらい、中継点となり火神以外のメンバーにパスを回していく。
しかし、そこでリコは違和感に気が付いた。
リ「…?(一年生は思いのほかやるわね…雪乃ちゃんの動きも悪くない……けど、思ったよりスコアが伸びてない…?)」
あきらかに有利な流れなのに得点差は2点しか差が開いていなかった。
リ「(火神君との連携がうまくいってないから?…いやこれはそれだけじゃなくて…)」
試合は結局、誠凛の勝利に終わった。
が、雪乃の後姿はどこか浮かない様子だった。
練習試合終わり―――
リ「どーゆーつもりよ」
木吉とリコは二人でマジバに来ており、リコは不機嫌そうに木吉に尋ねる。
木「ん?」
リ「急に火神君と1対1(ワンオンワン)したり一年だけで試合させたり…何を企んでるのかしら?」
木「なんでそんなそー人聞き悪いコと言うかなーっ。1対1はお互いの実力を知りたかっただけだよ。まあ試合の方は…あるっちゃある…かな。…雪乃ちゃんに知ってほしくてな」
『捨てることだ』