これが実力だ

伊「なっ、何考えてんだよ木吉!!」



今まで黙っていた2年生が木吉に詰め寄る。



木「いやー強いなアイツ」

リ「じゃなくて!!アンタ外れてどーすんのよ!?」



リコはデカハリセンで木吉の頭を叩く。



木「しょうがねぇだろ。ブランクなんて言い訳になんねーし、これが実力だ」

日「『実力だ』じゃねーよ。ボケすぎだ、足元見ろ!練習中からなんか変だと思ったんだよ」




皆の視線は木吉の足元に行く。



日「お前ソレ上履きじゃねーかダァホ!」



体育館に静寂が流れる。



降・福・河「「「えええ!?」」」

日「ったく…まさかわざと負けたんじゃねーだろーな」

木「…いっけね!」

日「素かい!!」

リ「…っもう!」



リコも呆れていた。
雪乃は特に驚きもせず、言葉も出さずただ木吉を見つめていた。









練習着から制服に着替え、皆と別れたあと日向は自販機でコーヒーとコーラを買う。



日「ん」

木「ん?」

日「退院祝い」

木「サンキュ!」




日向はコーヒーを木吉に渡した。



日「つーかあの勝負…バッシュだったら勝ってたんじゃねーのか?」

木「…かもなぁ」

日「オイ!!」

木「まあ結果はともかく力は確実に落ちてた。この夏にどこまで取り戻せるかな。それにしても面白いな…あの二人は」

日「雪乃と火神か?」

木「あぁ。プレイもそうだが。女の子が男に混ざってプレイするのにもびっくりしたしな」

日向「雪乃はいいけど火神がな―。プレイがまるで『キセキの世代』っつーか、どうも様子が変だ」



木吉は考える素振りを見せる。



木「そうか?むしろオレには逆に見えたけどな…」

日「!?雪乃が!?」

木「…かもなぁ」

日「オイ!!」

木「そう見えたってだけだ。確信なんてねーよ。けどまぁ…あいつらの悩みっつーか…なんかわかるんだよ。オレもブチ当たった壁だからさ」



二人はどこか遠い目をする。



木「ま…雨降って地固まるってな!」

日「固まってねぇから困ってんだけど!?」

木「じゃあ固めるのちょっとは手伝ってもいーだろ。それも先輩の務めだろ?」



日向は不機嫌そうにコーラの缶を口にくわえている。



日「…やっぱそれ返せそれ」

木「えっ!?退院祝いじゃ…」

日「なんかイラッときた。別に…困っちゃいるけど、心配しちゃいねーよ。この程度でへこたれる奴らじゃねーよ。壁ぐらいぶち破るさ。

そうすればアイツらはもっと強くなる」





『これが実力だ』完