行ってきます

黄瀬は相手のディフェンスが雪乃ということに驚愕している。



海「黄瀬についてんのって…えーと…」

海「なんかすげえパスしてたような…?」

海「え、ウソ!?見てねー」

海「てゆーか…」

全「相手に……なるわけねぇー!!」



誰もがコート上で最弱の女がコート上で最強の男に勝てるわけないと思っていた。



黄「まさか夢にも思ってなかったっスわ。雪乃っちとこんな風に向き合うなんて」

『……私もです』

海「一体……」



雪乃が何をするのか全く予想できない海常側は、固唾を呑んで二人を見ていた。



黄「どーゆーつもりか知んないスけど…雪乃っちがオレを止めるのはムリっスよ!!」



黄瀬はあっさりと雪乃をドライブで抜いた。
しかし、早めに火神がヘルプに入る。



黄「……!」

火「違うね、止めるんじゃなくて」

リ「獲るのよ!」



その時、火神により足止めをされている黄瀬の後ろから雪乃がドリブルをカットした。



黄「なっ!!?(バックチップ―――!?火神のヘルプでひるんだ一瞬を…!?)」

火「オマエがどんなすげえ技を返してこようが関係ねぇ。抜かせるのが目的なんだからな」



オフェンスに切り替わった誠凛は、速攻でシュートを決めた。



誠「おおおナイッシュー!!」

海「誠凛また追いついてきた!?」

笠「…やっかいだなクソ…ダブルチームの方がまだマシだぞ」

リ「(あのカゲの薄さで後ろから来られたら、いくら黄瀬君でも反応できないでしょ!)」

黄「そんなの抜かなきゃいいだけじゃないスか。誰も言ってないスよ」



黄瀬は3Pラインからシュートを打つ体制に入る。



黄「外(スリーポイント)がないなんて」





黄瀬がシュートを打とうとした瞬間、雪乃の後ろから火神がジャンプした。



黄「……!!」



火神は黄瀬のシュートをブロックした。



黄「(やられた……!!つまり平面は雪乃っちが。高さは火神がカバーするってことスか…!!)」

笠「(外からのシュートはモーションかかっからな…やっかいだぜ、やっぱコイツら…!そもそもこの流れを作ってんのは11番(雪乃)だ。コートで一番のヘボで一人じゃなんもできねーはずが…信じらんね……!!)」



火「いくぞ!速攻!!」



火神が速攻のため、ロングパスを出そうと振りかぶった。



黄「ちっ…」



黄瀬も慌ててディフェンスに戻ろうと走り出した瞬間、振り上げた肘が雪乃の頭に直撃した。



火・黄「あっ!!?」

リ「雪乃ちゃん!!」

審「レフェリータイム!!」



雪乃のケガは左側のオデコを切ったようで、血が流れていた。



リ「血が……!!」

日「大丈夫か雪乃!?」

『……フラフラします』

リ「救急箱持ってきて!」

火「おい…大丈夫かよ!?」



立ち上がった雪乃に火神が心配そうに雪乃に寄って来た。



『大丈夫です。まだまだ試合はこれからで……しょう…」

火「おっと!大丈夫か!?」

日「黒子ォ―――!!」



雪乃は喋っている途中に気を失い、倒れそうになったところを慌てて火神が支えた。
火神はそのまま雪乃をお姫様抱っこをして抱き上げた。



火「(軽っっ!こんな体で…しかも女で試合出てんのかよ…)」

『…輝…ん…』

火「…?」



火神の腕の中で気を失いながらも、何かをボソッと言った雪乃。
火神には声が小さすぎて聞き取れなかった。
そのまま火神は雪乃を誠凛ベンチに寝かせた。



笠「不本意な結末だが…終わったな…あの一年コンビが欠けた以上…あとは点差が開くだけだ」

黄「(雪乃っち…)」



黄瀬は心配そうに雪乃を見ていた。





『行ってきます』