行ってきます

日「………どうする」

リ「雪乃ちゃんはもう出せないわ。残りのメンバーでやれることやるしかないでしょ!」



まだ雪乃は気を失ったままだった。



福・河「(やれることって…雪乃いなきゃ…キツくね?)」

リ「OFは二年生主体でいこう!まだ第2Qだけど離されるわけにはいかないわ。悪いけど『勝負所』よ、日向君!」



リコは『勝負所』ということを強調して日向に言った。



リ「黄瀬君に返されるから火神君OF禁止!DFに集中して、全神経注いで黄瀬君の得点を少しでも抑えて!」

火「そんな…それで大丈夫なんで…すか?」

日「大丈夫だって。ちっとは信じろ!」

火「でも……」

日「大丈夫だっつってんだろ、ダアホ!たまにはちゃんと先輩の言うこと聞けや、○すぞ!」

火「……!?」



日向は笑顔で言ったが、その表情とは裏腹に言葉には棘がある。
どことなく笑顔も黒かった。
火神はビックリして勢いよく振り返る。



日「行くぞ!」



何事もなかったように日向と二年生たちはコートに戻っていった。

試合が始まり、誠凛がオフェンス。



日「ったく今時の一年はどいつもこいつも……もっと敬え!センパイを!そしてひれふせ!」

伊「スイッチ入って本音漏れてるよ、主将(キャプテン)!」

火「………!?」



日向の言葉に慣れている様子で冷静に突っ込む伊月。
一方、火神は固まっていた。



伊「あー気にすんな。クラッチタイムはあーなんの」

火「……?」

伊「とりあえず本音出てるときはシュートそうそう落とさないから、DFは任せてオマエはDF死にものぐるいでいけ」



伊月がゆっくりとしたペースで展開をしていたが、小金井が動いた。
小金井は日向のディフェンスにスクリーンをかけ、日向はフリーになった。



森「(スクリーン…!シブいタイミングでやりやがって…!)」



伊月はすかさず日向にパスを出した。
日向はゴール下でシュート体制に入る。
一方、ディフェンスは、水戸部により抑えられていた。



小「(コイツ、第1Qから地味に巧ぇ…)」

リ「あいにくウチは一人残らず……諦め悪いのよ」



日向の放ったシュートはリングに入った。





リ「優しい時は並の人!!スイッチ入るとすごい!!けど怖い!!二重人格クラッチシューター日向 順平!!」

日「ざまぁー」



4番 SG
178dm 68kg



リ「沈着冷静慌てません!クールな司令塔!かと思いきやまさかのダジャレ好き!伊月 俊!!」

伊「サロンパスで…ナイスパス。やべえ、きたコレ」



5番 PG
174cm 64kg



リ「仕事キッチリ縁の下の力持ち!でも声誰も聞いたことない!水戸部 凛之助!!」

水「………」



8番 C
186cm 78kg



リ「なんでもできるけど、なんにもできない!Mr.器用貧乏!小金井 慎二!!」

小金「ひでぇ…」



6番 F
170cm 67kg



火神はセンパイたちの紹介に押し黙っていた。





試合は進んでいき、流れは完全に誠凛で海常が押されていた。



笠「(11番(雪乃)がいたほどじゃねーが、チームOFもやりやがる…4番のシュート力上手く活かしてくんな)」



第2Q、残り1分30秒

誠凛 海常
48―52





さらにどんどん試合は進み、第3Q。

誠凛 海常
68―74



日「(それでもやっぱシンドイっつの…雪乃抜きでパワーダウンはしてるし…。オレの集中力も切れちゃったし…ってか、逆転とかできる気しねー)」」

観「第3Q残り3分―――!!」

福「カントク…何か手はないんですか?」



福田は隣にいるリコに尋ねる。



リ「前半のハイペースで策とか仕掛けるような体力残ってないのよ。せめて(主人公
ちゃんがいてくれたら…」

『…わかりました』



その時、ベンチの後ろに眠っていた雪乃が体を起こした。



『おはようございます。…じゃ、行ってきます』





『行ってきます』完