すごいもん見れるわよ

火「ちょっと一年同士、アイサツ行ってくるっスわ」

日「ああ…あ!?」



火神は緑間の前に躍り出た。
緑間は火神の前で止まって眉を顰める。



火「よう、オマエが緑間真太郎…だろ?」

緑「……そうだが、誰なのだよキミは?」

高「(知ってるくせに…なんのプライドだよ、それは…)」



すると火神が左手を差し出した。
緑間は握手だと思い、左手を出す。
しかし火神はどこからかペンを取り出し、緑間の左手に『せいりん10ばん 火神大我』と書いた。
緑間は呆気にとられた。



緑「なっ…!?」

火「フツーに名乗ってもいかにも『覚えない』とか言いそーなツラしてるからなオマエ。センパイ達の雪辱戦(リベンジ)の相手にはキッチリ覚えてもらわねーと」



緑間は青筋を立てながら、眼鏡を押し上げる。



緑「…フン。雪辱戦(リベンジ)?ずいぶんと無謀なことを言うのだな」

火「あ?」

高「誠凛さんでしょ?てかそのセンパイから何も聞いてねーの?」



そこへ高尾が来た。



高「誠凛は去年決勝リーグで三大王者全てにトリプルスコアでズタズタにされたんだぜ?」



高尾の言葉に火神は目を見開き、二年生達は苦虫を噛み潰したような表情をしていた。



緑「息巻くのは勝手だが、彼我の差は圧倒的なのだよ。仮に決勝で当たっても歴史は繰り返されるだけだ」



その時、緑間の手から持っていたクマのぬいぐるみが落ちた。
それを雪乃が拾う。



『……落ちましたよ。過去の結果でできるのは予想までです。勝負はやってみなければわからないと思います、緑間君』



雪乃は緑間にクマのぬいぐるみを渡しながら言った。



緑「…雪乃」



緑間は雪乃を見下ろす。



緑「やはりオマエは気にくわん。何を考えてるか分からん目が特にな…言いたいことは山ほどあるが、ここで言っても虚しいだけだ。まずは決勝まで来い」





その時、高尾が雪乃の肩を組んだ。



高「…いやー!言うね!あれっしょ?キミ真ちゃんの同中っしょ?気にすんなよ、アイツツンデレだから!ホントは超注目してんだぜー!?」

緑「いつも適当なこと言うな、高尾」

?「いつまでしゃべってる二人友!行くぞ!」

高「ヘーイッ」



二人は秀徳高校の選手に怒られた。



リ「…なんか雪乃ちゃんに言われちゃったんだけど…」

日「まあいーじゃん、オレらが思ってることそのままだし」

緑「…雪乃、見ておけ」



緑間はすれ違いざま、雪乃に話しかけた。



緑「オマエの考えがどんだけ甘ったるいか教えてやろう。そして行く高校を間違えたと」





秀徳高校はアップを始めた。



緑「キャプテン、やはり今日スタートから出してください」

主「は?占いが悪いとかで出たくねーとか言ってたじゃねーか」



シュート練習中、緑間は秀徳高校の主将に話しかけた。



高「あれだろ!?旧友に会ってテンション上がっちゃったんだろ!?それとも『(名前)見ておけ、俺の勇姿を』とか言ってカッコつけちゃったから?ww」

緑「俺の勇姿をとか言ってないのだよ!それにいつもその的外れな勘繰りはよせ。ちょっとシュートタッチを確かめたくなっただけだ」



主将はため息を吐く。



主「……いーけど監督から許されてるオマエのワガママは一日三回までだからな。あとに海言ったらキレっから」



主将の言葉と表情に緑間はたじろいだ。



主「まあいつも通りシュート決めりゃ文句はねーが、占い悪いなんてクソの言い訳にもなんねーからな」

緑「…落ちるわけがない。クマのぬいぐるみ(ラッキーアイテム)で補正されているのだから」



緑間は左手のテーピングを外す。
秀徳のベンチにはクマのぬいぐるみが置いてあった。





『すごいもん見れるわよ』完