燃えません?
誠凛は2階席へと移動し、秀徳の試合を観戦していた。
秀徳のオフェンスで、高尾がディフェンスを抜いた。
そしてゴール下へと切り込み、レイアップシュートの態勢に入るが、ディフェンスもブロックに跳ぶ。
それを呼んでいた高尾はゴール下でフリーになった主将にパスを出す。
主将はきっちりシュートを決めた。
観「うぉっ!!」
会場には歓声が鳴り響いた。
秀徳 錦佳
38− 8
リ「第2Q残り4分でもう30点差…さすが…ってカンジね」
秀徳の圧倒的な力に火神を除く全員が黙り込んでいた。
火「…フン!」
火神だけは鼻で笑った。
河「でもやってることはオレらと変わらないのに、なんかスゲーカンタンそーにバスケやるよな…なんでだろ?」
日「それはミスがねーからだよ」
河原の疑問に日向が答えた。
日「バスケってのは常にハイスピードでボールが行き交うスポーツだからな。ただパス捕るだけでも取りそこねる(ファンブル)ことは珍しくねー」
そういうと、秀徳の対戦相手の錦佳の選手がファンブルした。
日「けど強いってのは例外なく、投げる・捕る・走るみたいなあたりの前の動きからキッチリしてんだ。カンタンそうに見えるってのはつまり…基本がガッチリできてるってことだよ。
ま、あくまで基本だ。それ以上の理由が当然ある。…それは」
秀徳のシュートは外れ、リバウンドを取ったのは秀徳の主将だった。
ボールを持ったまま地面に着地をすると、もう一度ジャンプをしダンクを決めた。
ディフェンスについていた錦佳の選手二人は、吹き飛ばされた。
日「絶対的な得点源(スコアラー)がいるってことだ…」
秀徳の主将、三年C 大坪泰介
198cm 98kg
大坪は倒れた錦佳の選手に手を差し出す。
大「すまない大丈夫か?」
大坪のダンクに河原と降旗は驚いた。
河「すげぇダンク」
降「マジあれ高校生!?」
リ「また一段と力強くなってるわね」
日「去年アイツ一人でも手に負えなかったんだけどな…」
リ「(…そう、大坪(インサイド)主体で外(アウトサイド)は普通…ってのが去年までの秀徳…けど今年は)」
火「今日今んと5本中5本か。緑間はずいぶん調子いいみてーだな」
火神は隣に座っている雪乃に話しかける。
『そうなんですか?』
火「いや知んねーよ!つかオマエの方がわかんだろが!」
そのころ、コートでは錦佳のディフェンスに変化があった。
錦佳「ダメだ、中固めろ!」
錦佳「外はある程度やられてもしょうがねぇ」
錦佳は中に重点的にディフェンスを固め始めた。
『さぁ…?彼が外したとこ見たことないんで…』
火「!」
雪乃の言葉に火神は目を見開いた。
その時、歓声が上がった。
緑「ある程度しょうがない…?だからオマエらはダメなのだ」
緑間が3Pラインより外でボールをもらったのだ。
火「外したとこ見たことない…?雪乃、まさかそれって…」
緑間はシュートを打った。
ボールは尋常ではないほど高く上がった。
2階席よりはるかに高い。
日「(マジなんなんだこの異常なループの高さ…!フツーそんなんで距離感掴めねーぞ)」
同じ3Pシューターの日向は驚愕していた。
緑「戻るぞ高尾。DFだ」
緑間はボールがまだループを描いている間に、ゴールから背を向けDFに戻っていった。
高尾も緑間の後をついていく。
高「オマエ、いっつもそうだけどさー。これで外したらオレもどやされんだけど」
緑「バカを言うな高尾。オレは運命に従っている。そして人事は尽くした」
ベンチにはかに座のラッキーアイテム、クマのぬいぐるみが置いてある。
緑「だからオレのシュートは落ちん!」
ボールはリングに当たらず綺麗にリングを通った。
『緑間君はフォームを崩さない限り、100%決めます』
観「うっ…おっおおお…!」
観「すげぇ100発100中!?これが…『キセキの世代』No1シューターか!!」
会場が沸いた。
福「……マジかよ…」
小金「えげつないシュート打つな〜、てか入る前に緑間DF戻ってるし、速攻(カウンター)できなくね?」
リ「着弾までの時間が異常に長い…こりゃ精神的にもクるわね…」
日「(確かにすげぇ…けどなんだこの違和感…?もしかしたら緑間はまだ…もっととんでもない力を隠してるんじゃ…!?)」
日向は一人懸念を抱いていた。
審判「試合終了ー!!」
秀徳 錦佳
153−21
『燃えません?』