燃えません?

観「うわぁあ圧倒的…今年の秀徳は…」

観「強え!!」

リ「(外はもはや弱点どころか中よりも脅威の得点源になってる…!去年までが可愛く見えてきちゃうわね!)」



試合が終わった緑間はコートを出る前に、2階席にいる雪乃を見る。
雪乃と火神も緑間を見ていた。
その時緑間が口パクで雪乃に何かを伝えた。



『!』

火「?」





誠凛は会場から出て、廊下に出た。



小金「よーし」

日「じゃあ帰…」

リ「…るなー!!!」

日・小金「いてぇ」



帰ろうとする日向と小金井にリコは後ろからド突いた。



リ「今日もうひと試合あんのよ!バカか…バカなのか!」

日「冗談だよっ。暗いモードだったからさー」

リ「…なら…」

火「え?マジ!?」



火神だけは分かっていなかったようだった。



火「え?マジ!?」

リ「やっぱバカカ!バカガミか!!ちゃんと表見とけ!」



火神の後ろでは雪乃が呆れていた。



リ「予選4回戦と最終日は二試合ずつやるのよ。17時から5回戦よ!」



今の時刻は2時35分だ。



小金「でも改めて考えると一日二試合ってムチャだよな。時間空くっても疲れは残るし」

火「準決勝・決勝も一日でやんのか……ん?てことは秀徳の前に火と試合やんのか?………!?」



もう一度トーナメント表を見返してみて火神は固まった。



火「センパイ…三大王者って秀徳とあと…」

日「正邦と泉真館!」

火「……これって…」



火神からトーナメント表をもらった日向もトーナメント表を見て固まる。



日「カントク…これって…」

リ「ちょっと…二年生も気づいてなかったの!?」

日「いや…いつも違うブロックだから目に入ってなかったわ…」



全員は秀徳の前に対戦する準決勝の相手を見て驚いた。



リ「最終日はおそらく準決勝は正邦!決勝は秀徳!北と東の王者と二連戦なのよ!」



その事実に全員は目を見開いた。



日「マッジッかよ!?13:00〜準決勝で17:00〜決勝!?死ぬし!」

伊「ちょっとこれ…さすがに弱音吐きそーだぞ!?」

降「(弱音どころか…ムリじゃね!?)」

河「(強いトコって人数も多いし、層も厚いしウチほとんどベンチじゃん)」



降旗と河原もトーナメント表を見て顔を青ざめていた。





火「ハッ、一日に二試合できて…両方強−んなら願ったり叶ったりじゃねーか!」



火神だけは笑っていた。



降「いや火神…さすがにこれは…ないって!そもそも準決勝に勝てるかもわかんないのに…」

河「どんな強がりだよ…なあ雪乃!」



河原は雪乃に話しかけた。



『すいません、私もちょっとワクワクしちゃってるんですけど…』



雪乃は頬をかきながら言った。



降「はぁ!?何オマエも火神菌伝染(うつ)ったの!?」

火「なんだよ火神菌って!?」

『それは嫌です』

火「なんか否定の仕方もムカツクぞ、雪乃テメー」

『でも逆境(ピンチ)ってちょっと…燃えません?』



雪乃の言葉に表情が曇っていた二年生がいつも通りに戻った。



火「ハッ」

リ「いいこと言−じゃん。好きよーそーゆーの。けどその前に5回戦あんだからね!もう一度気を引き締め直して絶対勝つわよ!」

火「っしゃー、テンション上がってきた…ちょっと練習して…」

リ「くんな!休めよ!!」



その時、雪乃は時計を確認した。



『すみません、少し抜けてもいいですか?』

リ「は?また子犬のみたいにチョロチョロと…」

『(子犬?)少し話したい相手がいるので、すぐ戻ります』



そういって雪乃走っていった。



全「?」









『間に合いましたね…』



雪乃がリコたちと別れて来たのは会場の入り口だった。
時刻を確認すると1時50分だった。



『(あの人は時間にはうるさいですから)!』



その時、雪乃に誰かがぶつかった。



男「って!なんだ?」



そこにはバスケ部のジャージを着た男子生徒が何人かいた。
ジャージには錦佳と書いてあった。



錦佳「うぉっ!女の子!?」

錦佳「いつの間に!?」

『(この人たちはたしか緑間君と対戦した人たち…)』

錦佳「って可愛くね?」



錦佳の選手は雪乃を見て顔を赤くする。



錦佳「あっ、ほら誠凛のミラクルパスを出す女の子じゃね?」

錦織「本当だ」

錦織「ねえ、俺等とどっか行かね?」



錦佳の選手の一人が雪乃の肩を組んだ。
そしてそのまま連れて行こうとする。



『!離してください、これから人に会う約束をしているんです。それにまだ試合が…』

錦佳「いいじゃん。そんなの放っといてさ」

?「何をしてるのだよ」





『燃えません?』