第60話

処方してもらった薬を飲み、もう一度横になるとユキノは再び眠りについた。

ユキノが眠りについたのを安心したカタクリは、ベッドの近くに椅子を持ってきて本を読み始める。



しばらくしてカタクリは気がついた。



『はぁ…はぁ…』

カ「(苦しそうだな)」



ユキノは息を荒くし、苦しそうに眉を顰めながら眠っていた。



カ「(熱が上がってきている…)」



ユキノの*茲に手を当てると先ほどよりも熱い。



カ「(医者の言った通り、薬が効かねぇか…)」



どうすべきかと思考を巡らせていると、ユキノの額に乗せている氷嚢の氷がほば溶けていることに気がつく。
氷嚢を手にとり、氷をもらいに行こうと椅子から立ち上がろうとした瞬間、手を掴まれた。

カタクリの手を掴んだのはユキノで、目を開けているが意識が朦朧としている様子だった。



『行かないで…ください…そばにいて…』

カ「………」



立ち上がりかけたカタクリだったが、椅子に座りなおしユキノの自分より小さな手を握りしめた。



カ「大丈夫だ、側にいる」



そう言って頭を優しく撫でると、ユキノは安心したように微笑み、もう一度目を閉じた。

カタクリも優しく微笑み、頭を撫で続ける。





氷嚢は少ししてユキノの見舞いに来た兄弟達に任せ、その日一日中、カタクリはユキノの側を離れなかった。





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