第61話

とうとうこの日がやってきてしまいました…





私が一番嫌いなこと…





それは……




注射です!!





そうです、今日は年に1回あるビッグマム家全員で行われる予防接種の日。





ユキノは冷や汗ダラダラと流し、顔は真っ青になっていた。
医務室には長蛇の列が出来ており、(名前)も並んでいる。



ク「よう、ユキノ」



ユキノが伏せていた顔を上げるとクラッカーがいた。



ク「うおっ!大丈夫かお前、顔真っ青だぞ!そういやお前も俺と同じで痛いの嫌いだって言ってたよな〜」



クラッカーはニタニタと笑っている。
その顔に若干イラついたユキノは、クラッカーを弱々しく睨みつける。



『いつもは注射の時逃げるのに、今日は逃げないんですね』

ク「あぁ、俺は今回の注射はこの前受けたからな!」

『(そういえば、カタクリさんが言ってましたね。クラッカーさんは時間がかかるから先に一人で受けさせるって…)』




クラッカーは予防接種のたびにビスケットの鎧に入るか、城中を逃げ回るかで毎回時間が人一倍かかる。

毎回カタクリに捕まって強制的に受けるのだが、懲りない性分らしい。



ク「ま、頑張れよ〜」

『うぅ〜他人事だと思って…』

ク「今回は他人事だからな」



クラッカーは意地が悪い笑みを残して去っていった。

若干涙目になりながらクラッカーの後ろ姿を恨めしげに見ていた。





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