ドロップ
「手塚、いーもん持ってるでしょっ」
「は?せたがや……うわっ!」
「さっきからカランカランって音がする♪」
右のポケット失礼!あ、手塚から見たら左か。
ひんやりした金属の感触。冷たくって普通なら手引っ込めるとこ。
「やっぱり!飴ちゃん!!!」
「それは……、」
「一個ちょうだいね!?一個ちょうだいね!!」
「別に俺は構わないが……。」
「あれ?白」
「……。」
「も一個……白。え白?全部白!?」
「残念ながら白しか入ってないぞ。」
ふー。と短くため息を吐く。
手の上に全部で5粒のハッカのドロップ。
ん〜……食べられないことはないけど、でも。
「世田谷はあんまり好きではなさそうな気がしたから言わなかったんだが。」
「うーん、スースーするのはちょっと……」
「俺もあまり得意じゃなくて、……だからカランカラン言わせて歩いてたというわけだ。」
丁寧にひとつひとつ、指でつまんで缶に戻す。
高価な宝石でも扱うような長い指。
そして最後の一粒は時運の口の中へ。
「……でも食べるものを、無下に捨ててしまうのは気が引けて。」
「確かに」
「それにハッカだからと言う理由で嫌われるのもなんだか不憫でな。」
ふっと笑んだ、手塚から爽やかな香りがする。
さっき口に放り込んだハッカのにおい。
そうだよね、いちごだから好き、メロンだから好き、ハッカだから嫌い、はあんまりにかわいそうだ。
「……あたしも食べる」
「でも好きじゃないんだろう?」
「ふたりで食べたらはんぶんこになるよ!手塚」
「……そうだな。……じゃあ、もう一回手を出して。」
からん
無人の廊下に音が響いた。
ころんと転がり落ちた乳白色の白い粒。
「いただきます」
「どうぞ。」
すーっと口から鼻を通り抜けた、空気はやっぱり冷たかったけれど。
「無理するなよ、世田谷。」
「……ううん、大丈夫、おいひい」
あたしが想像しているよりもずっと甘い気がした。
君から貰ったドロップは、どの味よりも甘い気がした。
ドロップ
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
180225
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