無理をしないで
今日も良く晴れた。
朝から絶好の洗濯日和だ。
モノクロだった木々の枝に、ぽつぽつと白い蕾が付き始めている。
「今日は全国的に良く晴れるでしょう。降水確率は午前、午後ともに0%の予報です」
今日もみつくんは遅くなるだろう。
入試があって、卒業式があって合格発表があって、そんなことしてるとすぐに桜が咲いている。
春が来ている。
「さて、今日は3月11日です。中継で各地の様子をお伝えしていきます―――」
朝起きて
ごはん食べて
いってきますって外へ出て
おはようって君に言って
今日も当たり前に一日が過ぎていくって思ってた。
今日も当たり前に家に帰ってご飯食べて寝るって思ってた。
消したテレビの画面に、経った年数だけオトナになったあたしが映ってる。
「……テレビも最近あんまり配慮しなくなったな。」
「……うん。津波の映像とかね」
「啓、」
「うん?」
「あんまりテレビばかり見るんじゃないぞ。」
「……はーい」
洗濯物は昼を回る頃には渇いていた。
情報をシャットアウトしていると静かな春の初めの午後だった。
きっとあの日もそうだった。
揺れなければ、何の変哲もないいつもの3月の11日だった。
「あったかーい……」
ベランダの窓越しに燦々と太陽の光が降り注いでいた。
雪が降るなんて思わなかった。
寒い夜が来るなんて思わなかった。
みんなそう思ってた。
つぅ、と涙が流れた。
何年経っても
いつまでたっても
区切りなんて永遠に来ない
そして
永遠に3月11日はやってくる。
「風邪引くぞ啓。昼寝?」
「……あ、おかえり……って今何時?」
「まだ5時だけど、なんか一緒に飯が食いたくなって。今日はもう帰ってきた。」
「そうなんだ……」
「今日の夜はゆっくりしよ。な。」
「……はっ、ごはん!!」
「それもまあゆっくりでいいから。」
早く立ち直れなくてもいい。
無理に覚えておく必要もない。
矛盾してるけどどっちも大事で、必要で。
せめてあなたが少しでも、心安く過ごせますように。
永遠に廻る日の中で、あなたが少しでも幸せに、過ごせますように。
無理をしないで(Can’t forget 20110311)
何度も夢の中で繰り返すラブ・ソング
180311
- 80 -
*前次#
ページ:
ALICE+