◇1
「好きじゃ…好きなんじゃ……」
そう呟く君の目からこぼれ落ちる雫が私の頬を濡らす。
あぁ、これは夢だろうか。
君が私に好きだなんて言うはずがないのに。
そんなことあるはずがないのに。
これはきっと私の願望が夢になっただけなのだろう。
だから、
「仁王、私はあの子じゃないよ、」
笑って貴方を突き放そう。
たとえ、夢であっても裏切ってなんていけないから。
私はあの子が大事で、貴方が好きだけど。
「嘘じゃなかっ…!信じてくれ、」
その仁王の背中越しに見える小さなあの子の姿も夢なの。
だから、早く、目を覚まさなきゃ。
待ちんしゃい、そう引き留める貴方を私ははねのけて走り出しました。
長い睫毛に一滴
そこから伝う暖かささえ、私は夢だといい聞かせた
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