或る女の子のお話
あるところにひとりの女の子がいました。
女の子はいつもどこかつまらなそうで。
何かが満たされない。そんな気持ちでした。
そんな女の子はある日、猫の死骸を見つけ、そして死に魅入られました。
女の子はそれから幾度も幾度も死に損なってはまた同じことを繰り返しました。
すべてを終わらせる。
それが女の子の中で植えついた思いでした。
そんなまたある日。
とうとう、念願の死を遂げます。
けれど、それを良しとしない神様が女の子の命を取り留めました。
そして言うのです。
「きみにはとても優しく残酷な罰をあたえましょう」
その罰は、死にたい死にたいと嘆く女の子が一度でも心の底から生きたいと願った瞬間、死へ誘うモノでした。
神様は言いました。
「命を疎かにした罪を悔い改めなさい。絶望感を味わいなさい。そして、命が大事だと気付きなさい」
と。
女の子は気づきました。
そして、死へと進んでいったのでした。
愛しい人達を置き去りにしたまま。
笑って、いってしまいました。
「あの子、言ってたんだってばよ…2人には生きていてほしいって。自分は一緒にいられなくなるけど、2人には生きていって、ほしいって…いってたってばよっ……」
「2人のことがとても大切だって、大好きだって、愛しいんだって、言ってたわっ…」
「…笑いながらあんたら2人を優しい人たちだって言ってた」
ねえ、それを聞いて、
どう思う?
「そんな、のっ…ボクだって大好きに、決まってるじゃないですかっ!!」
「あのクソガキっ…勝手に死ぬなっつただろうがっ……!」
あぁ、良かった。
きみはとても愛されたね。
死ばかりを望んだきみがこんなに愛されてとてもうれしいよ。
きみが最期は生きたいと願ったことがうれしいよ。
私の愛しい子。
もう、大丈夫だね。
もう、愛を知ったから。
ちゃんと、愛を知れたから、もう大丈夫だね。
今度こそ幸せな子として生まれなさい。
「、―――っ!!大丈夫か!?」
「…大丈夫よ…それより、見て。私たちの子…」
「あぁ…お前に似てるな」
「ふふっ、まだ生まれたばかりよ。これからどうなるかわからないじゃない」
「それでも、幸せになってくれりゃいいさ」
「なるわ。なってくれなくちゃ。私たちの愛しい愛しい子だもの」
「そうだな……俺たちの愛する娘だ」
「えぇ…そういえば、名前決めたの?」
「あぁ、もう決めてある。名前はな……
朔
愛してるよ」
幸せを見つけなさい。
終
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