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USJ襲撃から2週間、あっという間に時は過ぎ、体育祭当日を迎えていた。

一応、着替えたものの元より参加する気がない経営科のなまえ達は早々に観客席側に向かう。

「あれ、なまえちゃん3年のステージ見ないの?」

「うん。3年の結果、なんとなく想像つくし。今年は1年生の見ようかなって思って。」

「えー?!そしたら私達もそうする!」

「でもなんで1年?そう言えば前からなまえちゃん1年のこと気にしてたよね?」

「気になる人でもいたの?」

「そんなんじゃないよ。
でも今年の1年生すごく話題になってるから。
せっかくだから実際見たいなって。」


「そしたら早く行こ!席なくなっちゃう。」

既に1年のステージの観客席は超満員。やっとのところで空いている席を見つけ、座った。

弔に聞いた1年にいるというオールマイト並の速さをもつという生徒。

なまえは彼に心当たりがあった。
この前偶然出会った彼、
緑谷出久。


彼に備わった能力、それこそこの前の弔を追い詰める程の力を
なまえは実際自身の目で見てみたかったのだ。

「なまえちゃん、1年生誰が優勝すると思う?」

「爆豪勝己くん。」

「あ!ちょっと口が悪いけど、ワイルドって感じだよね。」

「えー!わたしは轟くんのが好きだなー。」

恐らく決勝は十中八九この2人になる。



轟くんという子は訳ありなんだろうか、自身の個性の半分の炎は使わないらしい。

もし彼の中でそれを断ち切るきっかけがあれば結果は変わるのかもしれないけど。


そして昼休みが明けて、最終種目。大方予想していたメンツは残っている。

一対一のガチンコバトル。勝つのは一体。



「今年の1年生、みんな凄いね!!勢いがすごいというか。」

「次、轟くんと緑谷くんだって。」

「轟くん、さっきも一瞬だったもんね!なまえちゃんはどう思う?」

「……」

ナンバーワンヒーロー、オールマイトに似た個性を持つ緑谷出久とナンバーツーヒーロー、エンデヴァーの息子の轟焦凍。

彼らと弔は真反対の方向を向いていて、きっといつか直接対峙することがあるのかもしれない。

「なまえちゃん?大丈夫?」

「へ?あ、ごめんね。大丈夫。ぼーっとしてた。なになに?」

「なまえちゃんはどっちに注目する?」

「そうだなぁ。緑谷くんかな。」

「なまえちゃん、ああいう子がタイプなんだね?!」










『君の力じゃないか』

『俺だってヒーローに…!!!』

なまえの目に映る彼らは何処までも真っ直ぐだった。