23

木椰のショッピングモールの事件から、仲直りしたあの一件後、
より一層身も心も固く結ばれた2人。

その前の数日間の埋め合わせなのか、
連日弔はなまえを甘く求め、
なまえがもう出来ないと言う夜明けまでずっと身体を重ねていた。


(すごく嬉しい…んだけど、そろそろ身体がもたない…!!!!!!)



更に期末の結果も返ってきて、コンディションの良くない中、何とか学年1位を死守したことで気が抜けてしまったのか、
ついに今日学校を休んでしまった。


(まあもう終業式くらいしか行事もないし全然いいんだけど)

もう少し寝て、掃除とか溜まった洗濯とかしよう。
そう思い、なまえは再び目を閉じた。





そして日が暮れ始める時間帯。
さすがに平日、久しぶりによく寝て、
しかも学校を休んで家に篭もりっぱなしなのも勿体ない。

かと言ってどこかへ行きたい訳でもなく、
なまえの足は自然とアジトのバーに向かう。

ドアを軽くノックしてバーに入ると

「あれ…?」

そこには弔と、
見知らぬ男女。

(あ。)
この2人が、先日弔が言っていた仲間になりたいと訪ねて来た人達だろうか。

「なまえ、今もう話終わったからそこでちょっと待ってて。」

「うん。」

ぱちり。女の子と目が合う。




「……!!!!!!カァイイ女の子!!
ねぇ!名前なんて言うの?」

「へ!?名前?ですか?」

「私はトガです!トガヒミコ!!」

勢いよく迫られて
思わず助け求め弔に視線を送る。

「オイ、破綻JK、なまえから離れろ」


「なまえちゃんって言うんだぁ!名前もカァイイね!」


おおおぉぉぉ…!!!!!!これまで生きていて見た事のないタイプの子だ…

「トガ…さん…?あの…よろしくお願いします…??」

「よろしくしなくていい、特に関わることもないだろ」

「なんで?!私たちもうお友達だよね?!」

「うぇ?うぉぉ……」

「ほら、弔くん、なまえちゃんもお友達になるって言ってます!」

これ、私はどうすればいいんだ!?

なまえはどちらかと言うとコミュニケーション能力がある方だが
さすがにどう対応していいか分からず思わずもごもご口篭る。

「なまえ、やっぱり一旦先に部屋帰れ。」

「駄目!なまえちゃん、もっとお話ししよぉよ!」


(いやーー!!失敗した…)


トガに腕をがっしりつかまれ身動きが取れず、
弔の機嫌は悪くなる一方で
どんどん収集がつかなくなってきた今の状況に
なまえはこのタイミングでここに来たことを心の底から悔いる。


「なんだよ死柄木、おまえ女いるのか。随分と余裕だな。」

「あァ?!」

隣にいる男性が口を開く。

「よぉ、あんた死柄木の女?」

「へ?」

(次はなにーー!?)

今度は男にじっと見つめられる。

すかさずなまえを荼毘から引き離す弔。

「おい荼毘、これ以上なまえに近づくな」

「おーアンタなまえって名前?
相当大事にされてんなぁ」

「ハァ?おまえに関係ないだろ」


(わー!!まずいまずい!!)

今にもやり合いそうな2人の間に割って入るなまえ。

このままでは本当に何かしら起きてしまう。

「まぁまぁまぁ2人とも落ち着こ?
荼毘さんは面白がってからかってただけだし、
弔もすぐに挑発に乗らないで。ね?」

お願い、となまえが言うと弔はあっさり折れた。

「ハァ…、もういい、行こなまえ。」

頭にのぼった血が冷めたのかなまえの手を握り、そのまま2人でバーをでる。

「えー!なまえちゃん帰っちゃうの?今度また遊ぼうね!」

そんなトガに小さく手を振るなまえ。



「あいつ…ただのお姫様じゃないってことか」

本来なら触れた瞬間壊れてしまうはずの手にしっかり繋がれたなまえの手を見ながら荼毘はつぶやいた。





一方、バーを出て、自分が発端で物事がややこしくなってしまったことを謝るなまえ。

「ごめんね弔、勝手に私がここに来たから。怒ってる?」

「怒ってない。心配はしたけど」

「ありがと、でも面白い人たちだね」

「どーだかな」


これから彼の周りに集まるであろう人々に思いを馳せ
2人は家路についたのだった。