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そして林間学校2日目の夜。
なまえ以外の開闢行動隊のメンバーが集まる中、

与えられたマスクが可愛くないと言うトガの機嫌が良くない理由は、別にもう1つあった。

「せっかくなまえちゃんとずっと一緒だと思ったのに別々なんて酷いです」

死柄木から聞かされた計画では
なまえは明日にならないとこないし、来ても自分とは別行動。
それだけでモチベーションがあっという間に下がってしまう。



「おまえ…遊びに来たんじゃねーぞ…」


呆れる荼毘にトガは言い返す。


「そんなことは分かってます!でも荼毘くんはなまえちゃんと一緒なのずるい!!」


「ったく…さっさと目的を終わらせれば合流できるだろ、頑張れよイカレ野郎」


確かに荼毘も普段、死柄木から離れることのあまりないなまえが長い間自分の隣にいることへの興味が無いといえば嘘になる。


「待ってるぜ、お姫様」




それぞれの思惑を胸に
あっという間に次の日の夜を迎えた。





「荼毘さん、トゥワイスさん!!」

「おー!って、なまえ…ちゃん?だよな?」

「そうです!しっかり見ても私ってバレませんか?」

「全くわからねえよ!今日も可愛いな」

「本当?良かった…ちゃんと変装出来てて」


荼毘とトゥワイスと合流したなまえ。
与えられたマスクで顔隠し
普段とは全く逆の色と髪型のウィッグを身に付けたなまえは別人のようで
口を開かなければなまえだということは全く分からなかった。



「いや死柄木の奴趣味悪すぎだろ…

本気でなまえは死柄木のどこがいいのか理解できねえ…」


その言葉にあまり表情は見えないがきょとんと首を傾げるなまえ。


荼毘はチラリともう一度なまえの被っている死柄木の独占力丸出しのデザインのマスクを見やりため息をつきながら
傍の木に触れた。



辺りの木に徐々に火が燃え移り、しばらくすると一帯が青い炎で包まれる。




「さァ始まりだ


地に堕とせ」





“敵連合開闢行動隊“






「っても俺ら自体はあんまやることないけどな!」

「でもトゥワイスさんが増やした荼毘さん凄かったです本物の荼毘さんそっくり!」

たくさん活躍してるといいですねと微笑むなまえ。

「天使…!」


喜ぶトゥワイスを無視し荼毘はなまえがここに来た理由を尋ねる。


「で?なまえは脳無の確認はいいのか?」

「うん、脳無がね何をしてるかはあんまり興味がなくて、ちゃんと荼毘さんの声を聞いたら戻ってくるかが見たいの」

「そうかよ…まァしばらくは様子見だな。離れんなよ」

「はーい」



同時刻

バーに残る2人は

「本当に彼らのみで大丈夫でしょうか」

「うん」


ゲームが変わったという弔。
そのゲームで自分は人間を動かすプレイヤーであるべきであることに気がついた。



「開闢行動隊、奴らは成功しても失敗してもいい。


そこに来たって事実がヒーローを脅かす。」


「捨てゴマですか……」


「バカ言え!俺がそんな薄情者に見えるか?奴らの強さは本物だよ

じゃなきゃいくらこっちで安全策を建ててもなまえを俺なしで行かせたりしないだろ

向いてる方向はバラバラだが頼れる仲間だよ」


それでもなまえに何か危害が及ぶ可能性はゼロと言いきれるわけではい。



なまえのためにも


「成功を願っているよ」


そう言う彼の言葉は紛れもなく本心だった。