『うわー!根暗女だ!根暗女がいるぞ!』
『ホントだ!今日も1人だぞ、友達いねーのかよ!』


ハンバーグにするためのひき肉がないから買ってきて、ってお母さんに頼まれた、お使いの帰り道。

通りがかった夕方の公園で、ガキ大将とその取り巻きは私を目にするなりそう囃し立てた。まるで手頃なオモチャでも見つけたようなあの目が、私は大嫌いだ。


ーいやだ。
ぎゅ、とスーパーの袋を握りしめる。
俯いてさっさと通り過ぎようとした時、大きな声が辺りに響いた。


『おいテメェら!!余計な事言ってんじゃねェぞ!!』
『うわ、狡噛だ!』
『逃げるぞみんな!!』


その場に現れて、たった一言、そう言い放っただけなのに、ガキ大将たちはクモの子を散らしたように逃げていった。


『…ったく』


その様子を見送りながら、しょうもねーやつらだ、と呟くー狡噛慎也君。


『ホラユリ、大丈夫か』
『…うん。ありがとう、慎也君』
『気にすんな。行くぞ』


私の頭をわしゃわしゃと撫でると、慎也君はくるりと踵を返して歩き出した。その背中を見て、私の心はとくりと音を立てる。


ー狡噛慎也君。
私の、大好きな人。


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