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「…ん」
幼い頃の夢を見ていた。
薄闇の中、ぼんやりと目を開ける。
慎也君は私の3つ上で、家がお隣さんだった。
大人しくて気の弱い私をいつも助けてくれて、そんな慎也君のことが私は大好きだった。
大学生になり一人暮らしした今でもその恋心は継続しているのだから、我ながら大した片思い期間だ。
連絡先は知っているけれども、頻繁にやり取りをするような間柄では決してない。
だからこの前実家の母から電話が来て、そこで初めて慎也君が公安局の刑事になったことを知った。
…会いたいな。
最後に会ったの、いつだっけ。
そんなことを思いながら、時計を見ようとサイドテーブルに視線を向けようとした時、視界に見知らぬ人の顔面が映った。
「っ?!」
すんでのところで奇声を発するのを抑えた自分を褒め称えたい。だって目の前には、 普通に生活していればお目にかかれないような、天使みたいに整った顔をした男の人がすやすやと寝息をたてていたからだ。
「(えっ、ちょっと待って、どちら様?!)」
慌てながらもまず自分の衣服を確認する。
「…良かった、着てる…」
「ん…朝…?」
「(やば、起きる!)」
私の声に反応した目の前の人は、軽く一度身動ぎをしたあとゆっくり目を開いた。
とんだ至近距離で目が合って、私は瞬きすることを忘れて彼に魅入ってしまう。
なんて綺麗な顔なんだろう。
「そんなに驚いた顔をしないでくれよ、ユリ」
「え…と、どちら様…で…?」
「ひどいな、忘れてしまったのかい?僕は槙島聖護」
するり、と手が伸びてきて、私の頬を撫でる。
それは見た目とは反して、高い体温を宿していた。
固まったまま動けずにいると、槙島さんはフッと優雅に微笑んだ。そして私の耳元に唇を寄せ、かすれた声でささやいた。
「昨日は最高の快楽を味わえたよ。ありがとう」
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