1 君はヒーロー
「ガッチャ!ヒーロー最高!デュエル最高っ!」
十代の勝利だ。彼がいつもの決めポーズを取ると、周りのギャラリーがワッと湧いた。その中にいた私も、惜しまずに大きい拍手を送った。
「十代!勝ったね!」
「ああ!ユリ、見ててくれたんだな!」
周りで見物していた生徒たちが散り散りになったところで、私は十代に駆け寄った。十代は私の顔を見ると嬉しそうに笑ってくれた。
「オレのヒーロー、どうだった?カッコよかっただろ?」
「…っ、うん!とっても!」
「ははっ、サンキュ、ユリ」
少し照れくさそうに笑う十代。ヒーローはもちろん、いつも通りかっこよかった。でもそれ以上に、やっぱりー
「ひ、ヒーローもかっこよかったけど…」
「ん?」
「わ、私は十代の方がかっこいいと思っ…」
「十代さまー!」
「おー、レイ!」
「あ…」
私が最後まで言い終わる前に、レイちゃんが手を振りながら駆け寄ってきて、十代はそちらに気を取られてしまったようだった。
「すっごくかっこよかったです、十代さま!」
「お、ホントかー?ありがとな!」
…それは私が今言おうと思っていたセリフだった、のに。レイちゃんはすごいな。あんなにはっきり、それもさらっと言いたいことが言えて。
私なんて、何故だかいつも、十代を前にすると言いたいことが言えなくなってしまう。
「はぁ…次の授業の準備しよ」
肩を落として、私はブルー寮へと足を運んだのだった。
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