2 視線

次の授業は錬金術だ。
私はブルー寮へ行き、教科書や筆記用具を取るために自室へ一度戻ることにした。


「えっと…錬金術、錬金術…」


机に置いてある教科書に手を伸ばす。前々から思っていたけれど、錬金術とデュエルはどう関係があるのだろう。

…まあ、体育の授業もあるくらいだし、今更気にすることでもないのかもしれない。

必要なものを手に取り部屋を出て、玄関へと向かう。ブルー寮はとにかく豪華で広いため、最初こそ戸惑いはしたものの、少しずつその華やかさに慣れてきたところだった。


「…あ、キミ!」
「え?」


すれ違いざまに声をかけられてそちらを振り向くと、男子生徒がそこに立っていた。


「錬金術の授業に行きたいんだけど、教室の場所を忘れちまって…知ってたら教えて欲しいんだけど」


ターコイズブルーの髪が印象的なその生徒は、アークティック校からの留学生であるヨハン・アンデルセンだった。


「それなら私も今から向かうところだから、一緒に行かない?」
「ホントか?助かったぜ。よろしく頼むよ。えっと…」
「ああ、そっか。話すのは初めてだよね。ユリっていうの。よろしくね」
「ああ、よろしく。ヨハンだ」
「うん!じゃ行こう」


そういえば彼は留学初日にも、始業式に遅れて来ていたっけ。…もしかしなくても、方向音痴なのだろうか。


ブルー寮の外に出て目的の教室へと向かう途中、女子生徒たちがちらちらとこちらを見ていることに気がついた。


「(…なるほど、ヨハン君か)」


熱い視線はもちろん、彼に向けられている。それはそうだろう、彼は世界で唯一、宝玉獣のカードの主になったことで一躍有名になった人物なのだから。

それに加えてこの顔立ち、スタイル。女子たちが夢中になるのも無理はないな、と思った。当の本人はそんな視線にまるで気がついていないようだったけれど。

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