5 まっすぐな
お昼ご飯を食べ終えた頃、「アニキ〜!」という声が聞こえてきた。声の主は丸藤翔君だ。
「どした?翔」
「こんなところにいたんスね。剣山君が探してたっスよ!」
「剣山が?わかった、今いく!」
十代は立ち上がり、「2人とも、じゃあな」と言ってその場を走り去っていった。
「(行っちゃった…。でも、一緒にお昼ご飯食べられたし。うん)」
「…」
今日はもうレッド寮の生徒との合同授業はなかったはずだから、この後話すチャンスはないかもしれないけれど、卵焼きを食べてもらえるという夢のような出来事があったのだ。これ以上欲張りになるのは良くない。
「…なぁ、ユリってさ」
隣にいるヨハン君が何気無い調子で声をかけてくる。
「十代のことが好きなのか?」
「っ、えぇ?!」
「いや…大分わかりやすいと思うけど」
「わかりやすい?!」
今日初めて会話をしたヨハン君にそう言われるほど、私は態度に表してしまっていたのだろうか。レイちゃんのようにはっきりと行動に起こしているのならまだしも。
「だってほら」
「え…」
「顔。赤くなってる」
「…っ」
顔を覗き込まれて、近い距離でヨハン君にまっすぐに見つめられる。ただでさえ整った顔の持ち主だというのに、その上翡翠色の綺麗な目で見られると、なんだか緊張してしまう。
「…あ、の」
「ん?」
ふい、と私は耐えられなくなって顔をそらす。十代のことが好きなのか、と問われて動揺したのと、ヨハン君に真っ直ぐに顔を覗き込まれたことによる緊張とが混ざり合って、なんだか訳が分からなくなってしまう。
「…りょ、寮に帰って復習したいから!行くね!」
ヨハン君の視線を振り払うように、私は返事を待たずにその場を去った。
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