眠れぬ夜に(ヨハン)


「なんだよ。また眠れないのか?」

寝室でベッドに横になりながら本を読む私に、ヨハンは入ってくるなりそう声をかけた。白いシャツに黒の部屋着がよく似合っている。

「ん…最近夜更かししちゃってたから。この時間だとまだ眠くなくて」
「なるほどな。けど夜更かしはよくないぜ?」
「あっ!」

言いながらヨハンは部屋の電気をぱちりと消した。一気に暗転した部屋の中で手探りで手を伸ばす。ようやく探し当て、サイドデスクに乗っている、いつも使っているランプの明かりを灯した。

「もう、せっかく読んでたのに」
「今何時だか知ってるのか?夜中の2時だぜ」
「そういうヨハンも起きてるじゃない」
「オレはいいんだよ。デッキの調整してたんだから」

そう話しながら、ヨハンもベッドに潜り込む。そしてベッドに寝そべっていた私を、後ろから包み込むようにしてゆるく抱きしめた。

「っ、どうしたの?」
「ん。友理補給かな」

恋仲になったとはいえ、ヨハンに触れられるといつも緊張してしまう私は今も例外ではなかった。鼓動が早まるのを感じていると、ヨハンは私の両手に手を添えると頬をすり合わせ、そのままそこにキスを落とした。

「眠れないんなら、いいよな?」
「えっ?ん…!」

耳元で吐息交じりに囁かれたと思うと、耳たぶにヨハンの唇が触れたのを感じた。唇の上下で軽く食んだあと、ちゅ、と音を立てて吸われる。

「あっ、や、ヨハン…っ」
「友理はここ、弱いもんな」
「ん…っ」

楽しそうな声のトーンとは裏腹に、落とされるキスはとても熱っぽかった。肩の部分をするりとはだけさせると、その部分にも口づけを落とされ、それはそのまま首筋へと移動していく。

「ゃ…っ、ヨハン、もういい加減に…」
「言っとくが、ふざけてなんかないぜ?」

ヨハンは口づけをやめ、後ろから私の身体をぎゅ、と抱きしめた。

「…友理の匂いだ。安心する」
「…」
「同じシャンプー使ってんのに、なんか違うんだよな」
「…どんな香りがするの?」
「オレの大好きな香りがする」

耳元から聞こえてくる、どことなく幸せそうな声色。そんな声を聞かされてしまえば、愛おしさが溢れて止まらなくなってしまう。

「なあ、友理が眠れるまでオレも起きてることにするよ」
「え?でも…」
「いいんだ。友理と同じ時間を感じてたい」

そしてヨハンは再び私の頬に口付けると、耳元でこう言った。

「好きだよ、友理」

ランプの灯りが小さく揺れ、部屋の中の影がゆらめいた。