2019.04.23



「…」

病院の待合室。
自分の順番が来るのを待っている時、それは起こった。
指先や頭の芯からすっと冷えていくような感覚。逃げ場がなく、どうしたらいいかわからない。

『…パニ太。貴方なんだね』
『そ。今ならボクの事、考えてくれそうかなって思ってさ』
『…』
『ていうかいい加減パニ太じゃなくてカルンて呼んでよ。ちゃんと名前でね』
『…わかったよ。カルン』

ため息混じりに心の中で彼と会話を交わす。名前を呼ばれたカルンは嬉しそうに双眸を細めた。

『ねえ、苦しい?友理。ボクの事で頭いっぱい?』
『ん…、今は、貴方でいっぱい、だね』

とにかく落ち着かなければ。
深呼吸を繰り返し、さざ波のような感覚が頭から去るのを待つ。

『…せっかくボクが苦しめてあげてたのに。友理はボクの事嫌いなの?』
『嫌いじゃ…ないよ』

気持ちを落ち着けて深い呼吸を繰り返すと、やがて落ち着きを取り戻すのを感じた。

「本間さん。お待たせしました」
「はい」

奥の扉から名前を呼ばれて、私はすっと立ち上がった。カルンはその美しい瞳を私の背中に注いでいた。