【11 散らばったサプリメント ーMGー】
もう少しでエンディングってところでトイレに行きたくなった。
スタッフさん達も今がトイレ休憩ですって言うから、ディノに伝えてトイレに来た。
ステージから近くのトイレは混んでたから、少し遠くのトイレで用を足し、戻ろうとした時だった。
廊下の奥からガシャン!!!と何かが倒れるような音が聞こえた。
…だ、誰かいる?
恐る恐る見てみると、控え室のようだった。
でも、名前はない。
誰かいるのかな…。
ノックをしても返事は無い。
怖い!何も無かったことにしよう!
そう思ったのに、なぜか開けなきゃ後悔する気がして恐る恐るドアを開けた。
「…誰かいま…うぎゃあああ!!!ってなまえさん!?」
びっくりした!一瞬貞子かと思って絶叫してしまった。
控え室の床に這いつくばっているなまえさんに慌てて駆け寄る。
「なまえさん!!!どうしたんですか!?てか、何でこんなところに!?それより大丈夫ですか!?起きれます!?お、起こしますよ?」
薄暗くても分かる、顔色が悪いこと。
散らばった鞄の中身から薬やサプリメントが床に転がってる。
…何してたの?
違う、それより誰か呼ばないと。
「…ありが、と…ござ…」
「いいえ!それより誰か呼んできます!なまえさん達のマネージャーさん!それかうちのマネヒョン呼んできます!」
「…って。」
立ち上がろうとした俺の袖をなまえさんが弱々しく掴んだ。
これは行くなってこと?
いや、でもこんな状態で俺にはどうすることもできないし、万が一なまえさんに何かあったら大変だし…。
でも、こんな不安そうな顔のなまえさんを1人で置いて行くのも気が引けるし…。
どうしよう!
いや、でもここはやっぱり誰か呼んでこないと。
そう思った瞬間、「なまえ!!!」って大声がした。
振り向くとジフニヒョンが立ってた。
…なまえ?
呼び捨て?ジフニヒョンが?
ジフニヒョンは俺に構う事なく、なまえさんに駆け寄るとその体を抱き締める。
…何が起こってるんだ?
あのジフニヒョンが女の子を抱きしめてる?
え?ええ?
WZ「…ったく。何してんだよ。またオーバードーズしてるのか?取り敢えず水飲め。水、もらうな。」
MG「…あ、うん……。」
俺と間接キス…って違う!
MG「ちょっ、ヒョン!え?またって?てか、え!?どう言う事!?2人は知り合いなの!?」
すごく親密そうな2人は、さっき会ったばかりとは思えない。
知り合いだったの?
WZ「詳しくは後で話すよ。それより、どれ飲んだ?こっちか?」
「…ん。」
後でって…。
いや、まあ、そうか。
なまえさん、具合わるそうだし…。
WZ「トイレ行って吐くぞ。」
トイレ行って吐く…?
MG「…え!?吐かせるの!?ヒョンが?」
WZ「うん。完全に体内に溶ける前に吐かせる。」
…やっぱり2人はさっき会ったばっかりの関係じゃ無い。
信頼関係がないとそんな事出来ない。
ジフニヒョンがなまえさんを軽々と抱き上げる。
WZ「なまえの鞄持ってきてくれるか。それと、うぉぬになまえ見つかったって連絡して。」
MG「ウォヌヒョンに?」
何で?え、まさかウォヌヒョンもなまえさんと知り合いなの?
まあ、確かに楽屋に挨拶行った時も何か知り合いっぽい感じはあったけど…。
WZ「ミンギュ!」
MG「あ、ごめん。」
なまえさんのカバンの中身をしまい、廊下に置いてあった段ボールを持って、トレイに向かうジフニヒョンの背中を見つめながらウォヌヒョンにカトクを送った。
MG「これひいて。そしたら汚れないと思う。」
WZ「ありがとう。すまん。」
廊下にあった段ボールを床にひくと、その上になまえさんを座らせる。
WZ「ミンギュ、悪いんだけどこいつの髪の毛抑えててくんない?」
MG「あ、う、うん。」
言われた通りなまえさんの髪の毛を抑える。
WZ「口開けて。大丈夫だから。」
「…っ!!!」
ジフニヒョンは慣れた手付きでなまえさんの口に自分の手を入れながら、背中をさすってる。
“また”ってさっき言ってたし、やっぱり何回かこう言うことがあったんだろうか…。
そんなことをボーッと考えてると手に持ってたスマホが震えた。
【うぉぬひょん】
MG「もしもし?」
WN「(なまえ見つかったって!?)」
ウォヌヒョンも呼び捨て?
WN「(ミンギュ!?)」
MG「あ、うん。」
WN「(良かった。何処のトイレ?)」
MG「カルミ…」
「コホッコホッ!」
なまえさんの苦しそうにむせる姿をに言葉が詰まる。
WZ「ごめんな、もう少し我慢して。」
それでもジフニヒョンは、水を飲ませては吐かせようとしてる。
WN「(ミンギュ!?)」
MG「あ、ごめん。カルミアの楽屋近くのトイレに居…」
俺の言葉を最後まで聞く前に電話が切れた。
MG「ウォヌヒョンも多分来る…。」
WZ「ん。なまえ、お前本当全然食ってないんだな…。」
そっとトイレの中を覗き込むと、そこにはさっき床に散らばったサプリメントしかなかった。
「…オ、ッパ、ごめんなさ…」
WZ「お前は悪く無いから。大丈夫だ。それより後少し頑張るぞ。」
…オッパ?
涙目で苦しそうしながらも頷くなまえさんに、ジフニヒョンは優しく微笑むと、また口に指を突っ込む。
ああ、2人は本当にどんな関係なんだろう。
ジフニヒョンのこと“オッパ”って言ったように聞こえたけど…。
WN「ジフナ!なまえ!」
水を片手に息を切らしてるウォヌヒョンに少し驚いた。
ヒョンが、こんなに必死になるなんてそうそうない。
WZ「おう、ごめんな。」
WN「見つかって良かったよ。これ水。楽屋から持ってきた。」
WZ「サンキュー。開けてもらっていい?」
ウォヌヒョンはペットボトルの蓋を開け、ジフニヒョンに渡す。
…何で?
俺はさっきカトクでなまえさんを見つけて、ジフニヒョンとトレイにいることしか伝えてない。
それなのに水を持って来て、瞬時に状況を理解してるウォヌヒョンに驚いた。
WZ「よし…。よく頑張ったな。ミンギュもウォヌもありがとうな。」
MG「…う、うん……。」
2人には後で尋問しないと…。
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