【12 君のことなら ーWZー】
なまえを吐かせるのは何回目だろうか。
苦しそうに咳き込みながら、涙目になってるなまえを見つめながら考えた。
練習生の時も怪我して、病院でもらった薬を飲み忘れたとか言って、間隔を空けずに飲んで青ざめてるなまえを吐かせたし、月末評価の前日に高熱が出た時は、頓服薬を指定された間隔を開けずに飲んで道端で倒れてるなまえを見つけて吐かせた。
今回も痛み止めを時間の間隔を無視して飲んだなまえはオーバードーズ状態になってた。
なまえが吐いたものは、思った通りサプリメントしかなかった。
青い鎮痛剤が出て来たのを確認する。
WZ「よし…。よく頑張ったな。ミンギュもウォヌもありがとうな。」
MG「…う、うん……。」
ミンギュは相当戸惑ってる様子で、まだなまえの髪の毛をしっかりと抑えてくれてる。
後で説明しないとな…。
WN「タオル、これ使って。」
WZ「ありがとう。ほら、なまえ。口ゆすいで。」
水で口をゆすがせて、ウォヌが持って来てくれたタオルで口を拭いてやる。
大人になったと思ってたけど、こうしてるとやっぱり子供だなって思う。
WZ「俺手洗うから待ってて。」
「…ん。」
なまえの頭を撫でてからゆっくりと立ち上がり手を洗う。
さて、これからどうしようか。
いくら薬を吐き出したとは言え、なまえはまだ具合が悪そうだ。
この状態でカルミアの楽屋に連れて行くことはしたくない。
カルミアのマネージャーも頼り無さそうだし…。
かと言って俺らの楽屋に連れてってもな…。
さっきの控え室に行くか?
それがいいかな…。取り敢えずなまえ本人の意思を聞いてみるか…。
「…ッパ……。」
WZ「ん?待ってな。」
手を洗ってから不安そうにしてるなまえの元に戻る。
WZ「お前この後どうする?もうエンディングは終わってると思うけど、マネージャー呼ぶ?」
「…やだ。」
吐いたせいか、掠れた声で呟くなまえ。
WZ「じゃあ自分の楽屋戻る?」
なまえは少し考えてから小さく首を振る。
でも病院にも行かないとダメだろうし。
きっとなまえは俺と行くって言うんだろうな、俺が連れてくしかないかな…。
こう言う時に免許があればと思うわ…。
WZ「病院も行かないと、肩痛いだろ?」
「…オッパと行く……。」
やっぱり。
俺の手をギュッと握るなまえは、俺のよく知るなまえ。
甘えん坊なのも泣き虫なのも相変わらず変わらないな。
WZ「分かったよ。でも誰にも伝えずに行くのはマズイだろ?だからマネージャーには俺から伝えるぞ?」
「…うん……。でも…、マネオッパがダメって言ったら…」
WZ「俺は絶対一緒に行くから安心しろ。取り敢えずここに居てもあれだし、さっきの空いてる控え室行くか。」
なまえが頷いたのを確認してから、抱き上げる。
さっきも思ったけど本当に軽い。
あんなに飯食うの好きだったのに…。
なまえをゆっくりと椅子に下す。
「オッパ…、ミンギュさん、うぉぬさん、ありがとうございました。」
WZ「ん。」
MG「ぜ、全然です!それよりなまえさんのこと見て絶叫してごめんなさい!」
え?絶叫?
なまえは何かを思い出したのか小さく肩を震わせて笑いを堪えてるようだ。
WN「何で絶叫したの?」
MG「いや、トイレから出たらガシャンって音して、この部屋から聞こえたのにノックしても返事無いし、幽霊だったらどうしようって思いながらドアゆっくり開けたらさ、なまえさんが床に這いつくばってて、それが…貞子に見えて…それで…本当すみませんでした!」
WZ「お前貞子に間違えられたのか!」
笑いながらなまえを見ると、なまえは声を押し殺して爆笑してる。
WZ「なまえが笑い死にそうなんだけど、どんだけの勢いで絶叫したんだよ。」
MG「え?それはもうガチ貞子が現れたかのように絶叫しました…。本当貞子と間違えてすみません!」
「…具合い悪いのに、ミンギュさんの絶叫が面白すぎて…、死にそうでした…。」
WZ「今もじゃん。」
声が出ないくらい爆笑しながら、俺に寄り掛かるなまえ。
WN「でも何で怖いの苦手なのに開けたんだ?」
MG「いや、何か開けなきゃ後悔する気がして…、何でか分からないけど。」
ビビリのミンギュが勇気を出してくれたおかげで、なまえは大事にいたらなかったんだよな。
今度飯でも奢ってやるか…。
WN「外騒がしくなって来たし終わったんじゃ無い?病院行くなら俺車出すよ。」
WZ「ありがとう。この後ってスケジュールないよな?」
スケジュール無いなら急いで着替えて、なまえのマネージャーとうちのマネヒョンに病院連れて行くこと伝えて、さっさと病院だな。
MG「何かあるって言ってなかったっけ?」
ミンギュがそう言った瞬間、誰かの携帯が鳴った。
「…マネオッパだ。」
WZ「話せる?俺が話そうか?」
大丈夫と小さく呟いてから、通話ボタンを押す。
なまえが話してる間に、俺らの携帯も鳴り出す。
MG「…クプスヒョンだ……」
WN「ジョンハニヒョン…」
ってことは、俺は…
WZ「シュアヒョン。」
この中でマシなのは、ジョンハニヒョン。
俺とミンギュがウォヌに視線を移すと、ウォヌは笑いながら電話に出た。
「…はい、ごめんなさい。病院はオッパ…、ジフニオッパと行きたいです…。はい…、鞄はあります。…はい、カルミアの楽屋のトレイの隣の使ってない控え室です…。はい、ありがとうございます…。」
WZ「怒られた?」
「ううん…。心配してた…。私の服持って来てくれるって…。」
良かったなとなまえの頭を撫でる。
ウォヌは上手い事ジョンハニヒョンを言いくるめられたのか、グーっと親指を立てた。
MG「ヒョンなんだって?」
WN「最初は怒ってたけど、なまえの事話したら許してくれた。で、この後少しだけ収録あるみたいだけど、ジフナと俺はなまえに付き添ってって。ミンギュだけ戻ってこいってさ。」
MG「え!?何で俺だけ!?」
俺もなまえさんと病院行きたいのに!と大きな体を丸めていじけてるミンギュ。
WZ「何かあったら直ぐ連絡するから。」
MG「本当に!?本当に連絡してよ!なまえさん!」
急に立ち上がってなまえを呼ぶから、なまえもびっくりして背筋を伸ばす。
え、何これからプロポーズでも始まるの?
MG「もう絶対に無理しないでください!俺の心臓がいくつあっても足りません!」
そうか。そうだよな。
1番最初に発見したミンギュが1番怖かったよな…。
「…はい。ご迷惑おかけしてすみませんでした。それと、見つけてくれてありがとうございました。」
まだ少し掠れた声で、でもしっかりとお礼を言うなまえにミンギュは満足そうに微笑むと「ヒョン達の荷物持って来るね。」と控え室を出て行った。
優しい弟を持って良かった。
WN「で?ミンギュどれくらい叫んだの?」
WZ「…おいㅋㅋㅋ」
「ゴホンッ!…うぎゃあああああ!」
WN「ㅋㅋㅋㅋㅋ」
本当に絶叫したんだな。
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