【13 笑ってくれる人 ーなまえー】

暫くするとマネオッパが私たちのいる使われてない控え室に血相を変えてやって来た。

『無事で良かったけど、本当心配かけんな。これなまえの服な。』
「ごめんなさい…。ありがとうございます。」

マネオッパから私服を受け取ろうと手を伸ばすと、その前にジフニオッパとうぉぬさんが立ち塞がった。

…ん?どうしたんだろう。

WZ「マネージャーさん。失礼を承知でお聞きしますが、なまえがグループ内で酷い扱いを受けている事を知っていますよね?それなのに何で放置してるんですか?マネージャーなら助けてあげることもできるでしょう?」

…おっぱ……。
声のトーンで分かる、おっぱが怒っていると。

『…すみません。』
「おっぱ、あのね、マネオッパも大変なんだよ。結婚して奥さん妊娠したばっかりなのに、あの人達に逆らってクビになったら大変でしょ?だから仕方ないの。」
WN「だからってなまえがこんなに辛い思いしてるのにさすがに放置は…。」

おっぱは昔から優しいけど、うぉぬさんも優しいな。
さっき会ったばかりの私の心配をしてくれるなんて。

「私、本当につい数時間前まで絶望しか無かったんです。でも今日ジフニオッパと会えて、おっぱもデビューしたって知って希望が見えたんです!だから私は大丈夫です!」

まだ少し掠れた声だったけど、今の私の正直な気持ちだ。
おっぱとなら頑張れる。

『ミニョンは事務所に高額な資金援助をしてくれる会社の社長の孫娘なんです。だから俺を含めスタッフも言いなりで…。本当にすみません。でもなまえの事は本当に大事に思ってます。』

オッパはまだ納得してないような表情で何かを言いかけようとしたけど、マネオッパのスマホが鳴って遮られた。

『ちょっとすいません。』

マネオッパが電話に出てる。
電話の相手はソラオンニだ、声が漏れてる。

『これから少し収録があるから俺は戻るよ。病院の結果が分かったら連絡して。衣装は後で回収するからここに置いといて。病院には連絡してあるから名前言えばすぐ通してくれるはずだ。』
「はい。ありがとうございます。」
『ウジさん、ウォヌさん、すみませんが、なまえのこと、よろしくお願いします。』

マネオッパは丁寧に頭を下げると、控え室を出て行った。
出て行ったマネオッパと入れ違いにミンギュさんがおっぱとうぉぬさんの荷物を持って来た。

MG「じゃあ俺は戻るね!絶対連絡してよ!」
WZ「分かったって!ありがとうな。」

ミンギュさんは私に向かってブンブンと大きく手を振ると、また自分の楽屋に戻って行った。
大きな犬みたいだな…。

私服に着替えて、オッパ達の衣装を楽屋の前に置いてから車に向かう。
ウォヌさんは運転席、私とオッパは後部座席に座った。

「車借りて大丈夫なの?」
WZ「少し狭くなるだけで大丈夫だよ。それより具合は?少しは良くなったか?」

コクリと頷くと、オッパはくしゃっと笑って頭を撫でてくれた。

窓に反射する自分の姿を見つめる。
…確かに貞子みたいだな。

いや、でもあの時黒いペディンを着てたから真っ黒い物体だったはず。
手伸ばしてたから貞子っぽかったのかな?

「落とし穴じゃなくてさだぴーか…。」
WZ「ん?」
「いや、私真っ暗なダウン着て床に這いつくばってたから、落とし穴に見えなくもなかったよなって思って。それか巨大う○こ。」
WN「…え?」

まあ、落とし穴やう○こに間違われるよりはまだ人の形してるさだぴーの方がマジだよな。

「良かった、落とし穴でも巨大う○こにも間違われなくて。」
WN「ぶっ…ㅋㅋㅋ」
WZ「頼むなまえ、あんまり変なこと言わないでくれ。うぉぬも運転に集中して。」
WN「ごめっ、でも…なまえがㅋㅋㅋ」
「ん?私変なことなんて言ってないよ?」

うぉぬさんがめっちゃ笑ってる。
なんか、こうやって私の言ったことに対して笑ってもらえるの久し振りだな。

「うぉぬさん笑い過ぎて魂抜けそう。」
WZ「お前のせいだよ。」
「え?私落とし穴か巨大う○こに間違われなくてよかったとしか…」
WN「巨大う○こに間違われるとか…ㅋㅋㅋ」

なるほど、うぉぬさんは“う○こ”に弱いのか。

「うぉぬさん。」
WN「な、なに?ㅋㅋㅋ」

笑いながらバックミラーでチラッと私を見る。

「う○こ。」
WN「ぶっ!やめ…ㅋㅋㅋ」
「うぉぬさんう○こって言うだけでめっちゃ笑ってくれるからう○こ連呼したくなる。」
WZ「ばか、やめろㅋㅋㅋ」

こうやって私の言ったことに笑ってくれる人がいるのは、本当に嬉しい。
こんな感じも久し振りだな…。

暖かくて、幸せだと思った。

うぉぬさんが落ち着いた頃に背後から「う○こ」と呟いて遊んでるうちに、病院に着いた。

緊急外来の受付で名前を言うと、マネオッパの言っていた通り直ぐに待合室へと案内された。

『みょうじなまえさんですね。こちらへどうぞ。』
WZ「俺とうぉぬはここで待ってるな。」
「うん、じゃあう○こ行ってく…間違えた。診察行って来る。」
WZ「おうㅋㅋㅋ」

おっぱとうぉぬさんに笑われながら、診察室に入った。
肩、何ともないといいな…。




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