【14 たんぽぽの綿毛 ーWZー】

待合室で待ってると看護師さんがなまえを呼びに来た。

『みょうじなまえさんですね。こちらへどうぞ。』
WZ「俺とうぉぬはここで待ってるな。」
「うん、じゃあう○こ行ってく…間違えた。診察行って来る。」
WZ「おうㅋㅋㅋ」

あいつ、今言い間違えそうって言うか、完全に“う○こ行って来る”って言おうとしてたよな。

WN「今、なまえ、う○こ行って来るって言いかけてたよねㅋㅋㅋ」
WZ「車の中でう○こ連呼し過ぎたからな。」

なまえは昔からちょっと抜けてて、ちょっと変わってた。
ふわふわしてて、たんぽぽの綿毛みたいだとずっと思ってた。

少しは成長したんだろうと思ってたけど、やっぱりなまえはたんぽぽの綿毛のままだ。

WN「なんか良い意味でなまえのイメージぶち壊れたわ。」

笑い過ぎて少し喉が枯れてるうぉぬ。

WZ「そうか?あいつ昔からあんなだぞ。」
WN「え?そうなの?」
WZ「うん、あいつは昔っからちょっと抜けてたよ。」

抜けてると言うのか、バカなのか、天然と言うのか、よく分からないけど。

WN「いつから知り合いなの?」

…いつから?
あいつが引っ越して来たのは…

WZ「確か小学校6年の時かな?親の都合で俺の隣の家に引っ越して来たんだよ。」
WN「それで友達になったと?」

あれ?俺最初はなまえと友達じゃなかった気がする。

WZ「最初は友達じゃなかったはず。俺もなまえも人見知りだし、しかもあいつ韓国語アニョハセヨとカムサハムニダしか知らなくてさ。」
WN「なるほどね。それでどうして仲良くなったの?」

随分質問攻めだな。
仕方ないか、うぉぬの中でなまえは先輩アイドルだ、そりゃ気になるよな。

俺となまえが話すようになったきっかけがあった。


ーなまえが引っ越して来て、半年程が経ったある日の夜。
10時くらいになまえが居なくなったと、なまえの両親がうちに来た。

俺に心当たりは無いかと聞かれたけど、生憎友達ではなかったから、なまえがどこにいるかなんて見当もつかなかった。


WN「迷子になったとか?」
WZ「分かんないから取り敢えず手分けして探すってなって、俺も探して来いって言われたから、近所の公園に探しに行ったんだよ。」

めんどくさいなって思いながらも近所の公園に探しに行った。
パッと見た感じベンチにカップルが居るだけで子供は居なかった。

学校の方を見に行って見ようかと思った時、俺がかくれんぼの時によく隠れてる秘密の場所があることを思い出した。

遊具と遊具の隙間で、小柄な子しか入れないし、ましてや大人の目線からは死角になって絶対に見えない場所。

恐る恐る覗いてみると、なまえはそこに居た。


WN「それっていじめ?」
WZ「たぶん。でもあいつ普通に寝ててさ。」
WN「え!?寝てた!?」


ーそう、あいつは寝てた。

WZ「おい、起きろ!何してんだよこんな所で。」

そう声を掛けるとなまえは目をぱちくりさせて、あれ?って顔をした後、言った。

「…今はあなたが鬼なの?」

たどたどしい韓国語で聞いて来たなまえは、まだかくれんぼが続いてると思っていた。

WZ「もう終わったよ。両親も心配してるし帰ろう。」
「うん!」

にっこりと微笑むなまえの小さな手を繋いで家に戻った。

なまえの両親は泣きながら安堵して、俺に何度も何度もお礼を言った。


WZ「その後から友達って言うか、見張り役みたいになったんだよ。」

ウォヌはなるほどねと呟き腕を組む。

なまえは自分が虐められてる事に気付いてないのだと思った。
俺が守ってあげなきゃって思ってた。

だからその日からずっと、なまえのそばに居た。

WN「なまえは虐められてる事に気付いてなかったの?」
WZ「俺も最初はそう思ってたんだよ。でも、あいつは気付いてた。気付いてたけど、友達が欲しかったからって中学入った時に言ってたよ。」

そう、なまえは全部知ってた。
言葉は全部分からなくても、自分が虐められてる事に気付いてた。

それでも友達が欲しくて知らないふりを続けてたと聞いた時、胸が張り裂けそうになった。

“あの時、おっぱが私を見つけてくれて、友達になってくれて本当に嬉しかったんだよ。”

なまえの言葉が蘇る。
あいつはいつだって、俺と居ると元気になるとも言ってたよな…。

WN「もう一つ、どうしても気になる事あるんだけど、聞いて良い?」
WZ「すごい聞いて来るな、いいよ。」
WN「何でなまえはジフナのことオッパって呼んでんの?96年で俺らとタメでしょ?」

あ、そっか。忘れてた。
あいつ、96年生まれって事になってるのか。

WZ「なまえ、99年生まれだよ。」
WN「え!?は!?ディノと同じ?」
WZ「うん。」

珍しく目を見開いて驚いてるウォヌだったけど、「だからか!」なんて急に1人で納得し始めた。

WN「たまに凄い幼く感じる時があったんだけど、まあ、99なら納得だわ。って、じゃあデビューした時って……中1!?」
WZ「そう。若過ぎるからって年齢を96ってことにしてデビューしたんだよ。だからなまえはまだエギなんだよ。」

衝撃はまだ収まらないようで、口を開けたままのうぉぬ。

『すみません、ジフンさんはどちらでしょうか?』

看護師さんが診察室から出て来た。

WZ「俺ですけど…。」

なまえに何かあったのだろうか。
そう思って看護師さんに聞こうと口を開きかけた。

WZ「あの、なまえにな…」
「いやですぅぅぅ、注射はいやですぅぅぅ、おっぱぁぁぁ。」
WZ「…すみません。行きます。」

注射が嫌で駄々をこねてるようだ。

WN「子供だね。」
WZ「ウォヌもくる?」
WN「え?いいの?」
WZ「動画撮って。後でなまえに見せるから。」

なまえは泣いたふりだって言うんだろうな。

何とか注射を終えたあと、医者は最低でも1ヶ月は安静にして下さいとなまえに伝えた。




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