【16 ただいまの重さ ーWZー】

ヒビが入ってるから1ヶ月は絶対安静だと医者が言った。
診察室の画面に映し出されたなまえのレントゲン写真には確かに肩と手首にヒビが入っていた。

手首のヒビは少し前のものではないかと、診察室を出る直前に医者に言われた。

なまえはきっと今までもこうやって痛いのを薬を飲んで我慢してたんだろう。
薬が効いて眠くなったのか、俺に寄り掛かって寝てしまったなまえに膝枕をする。
懐かしいなこの感じ…。

WN「今日はなまえのこと連れて行くけど、この先どうするの?さすがにずっと俺らのとこ置いとく訳にはいかないでしょ…。」
WZ「…うん、だから考えてる。」

なまえは絶対にアイドルは辞めないと思う。
こんなにボロボロになってまでアイドルを続ける理由がなまえにはあるから。

俺だってなまえにもう辞めろなんて言うつもりはない。

「……ごめんなさい…」
WZ「え?」

寝てたと思ったのに急に謝られて顔を覗き込む。

WN「起きた?」
WZ「…いや、寝言。」

夢を見ているのか、震えながら泣いているなまえの手をそっと握る。

WN「なまえ…、もう限界なんじゃない?」
WZ「……何とかしないとな…。」

そうは言っても俺に何が出来る?
今年デビューしたばかりの新人の俺に出来ることなんて何もない。

自分の無力さにイライラしてると、眠ってるはずのなまえが俺の手をギュッと握った。

あぁそうだ。なまえには不思議と俺の感情が伝わるんだった。
そんな事を何気なくオンマに言ったら、あんた達は前世双子の兄弟だったかもね、なんて言われたっけ。

WN「着いたよ。」
WZ「あ、ありがとう。なまえ、起きろ、着いたぞ。」

なまえが気付く前に、頬に伝った涙を拭いてやってからなまえを起こす。
ゆっくりと目を開けて体を起こして俺を真っ直ぐに見る。

WZ「どうした?着いたぞ?」
「うん…、オッパの服によだれ垂れた。」
WN「ふふっㅋㅋㅋ」
WZ「ばか、いいから行くぞ。」

痛めてない腕を引き宿舎に案内する。
玄関を開けなくてもアイツらの声が聞こえてくる。

WN「ただい…」
SG「うわぁ!!!本当になまえさんがいる!!!」
HS「うぉー!!!」
DK「怪我は大丈夫ですか?」
「あ、は…」
DN「これ誰の下着!?なまえさん来るから片してって言ったのに!」

うるせぇ…。

「いつもこれ?」
WZ「うん。」
WN「そのうち慣れるよㅋㅋㅋ」

俺もウォヌも何だかんだこの煩いのに慣れたもんな。
呆気に取られてるなまえと、未だにメンバーが騒いでて部屋の中に入れない俺ら。

取り敢えず部屋に入れてくれ。

JS「はい皆んな落ち着いて!なまえちゃん、いらっしゃい。2人もおかえり!少しは片付けたから綺麗だよ!入って!」

シュアヒョンのおかげでようやく落ち着いたホシとスングァニ。

WN「ただいま〜。」
WZ「ただいま…ってなまえ?」
「あ、お、お邪魔します…。」

急に大人しくなったなまえに俺とウォヌは顔を見合わせる。

WN「どうしたの?」
「…え、ちょっと緊張が……。」

まあそりゃ緊張もするか。

WZ「すぐ慣れるよ。」
「うん。」

なまえの手を引きリビングに行くと、今朝まで散らかってたリビングが明らかに綺麗なっていて、テーブルにはミンギュとジュンとミンハオが作ったであろう料理が並んでる。

またずいぶんいっぱい作ったな。

WZ「荷物置いて来るから座ってて。」
「うん…え!?おっ…ぱ…。」
WZ「すぐ戻るから。キッチンにミンギュいると思うから行っといで。」

人見知りのなまえはそれでも戸惑ってる様子。
部屋に来るか?と言いたいところだけど生憎散らかってるだろうからまだ部屋に入れることは出来ない。

SG「ミンギュヒョン!なまえさん来たよ!」

俺となまえのやり取りを聞いたスングァニがキッチンにいるミンギュを呼ぶ。
本当に気の利くよく出来た弟だ。

WZ「スングァナ、ありがとう。」
SG「うん、ミンギュヒョンもすぐ来るとおも…ほら来た!」

ミンギュがキッチンから顔を出すと緊張してたなまえの表情も少し和らぐ。

MG「なまえさん!お帰りなさい!ヒョンもお帰り!」
WZ「ただいま、俺荷物置いて来るからなまえのこと頼むわ。」
HS「俺にも頼めよ!」

騒ぐホシになまえは極度の人見知りだと伝えると大人しくなった。

WZ「じゃあミンギュと居てって…なまえ?お前なんで泣いて…」

俯いてたなまえの頬が濡れてることに気付いて、慌てて顔を覗き込む。

「え、あ、ごめん…。ミンギュさんが…」
MG「え?俺!?」
SG「ヒョン!なまえさんになんかしたの!?」
MG「え!?し、してないって!え!?ひょ、ヒョン俺、何もしてないよ!」

慌ててるミンギュに分かってるよと言うように頷くと、安心したように胸を撫で下ろす。

「ごめんなさい、あの、嬉しくて…。おかえりなさいって言ってくれたことが…。」

そう言ってまたベソをかいて俺に抱きついて来るなまえを片腕で抱き締める。

おかえりなんて、俺らにとって当たり前の言葉だった。
でも、なまえにとって“おかえり”って言葉は泣くくらい嬉しかったんだな…。

MG「毎日言います!おかえりって!だからもう泣かないでください。それより味見してもらっていいですか?」
「はい!」

ミンギュの言葉に顔を上げ嬉しそうに微笑むなまえを見て、非力な俺だけどやっぱりこのままじゃダメだと強く思った。




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