【20 約束 ーWZー】

俺らの自己紹介が終わると、今度はなまえが口を開いた。

「みょうじなまえ、1999年12月24日生まれ、芸名はエバです。オッパが練習生になってすぐソウルに会いに行って、私もアイドルになりたいって思いました。本当はSMに入りたかったんですけど今の事務所の方が先に返事がきたので今の事務所に入りました。」

そうだった。思い出した。
俺に会いにわざわざ釜山からソウルまで会いにきたよな。
心配過ぎて帰りは俺も釜山まで行って結局1日実家に帰ったんだっけ。

SG「確かなまえって練習生期間半年くらいしかないよね?」
「はい。おっぱより早くデビューしちゃいました!」

へへって笑ってるなまえを見て、デビューが決まったと伝えて来た日のことを思い出した。
嬉しかったけど、練習生期間も短い上に、まだ若過ぎると反対しようとした。

でも、希望に満ちてるなまえを見て反対なんてできなかった。
あの日、反対していたら、なまえはもっといいグループで活動できてたかもしれないのに…。

JH「なまえは何でそんなにボロボロになってもカルミアにいるの?」
SC「おい!ハニ!」
JH「皆んなだって思ってることでしょ?このまま見過ごすことは出来ないでしょ?」

そうだよな…。
何でこんなにボロボロになってまで、カルミアってグループにしがみついてるんだって思うよな…。

「約束したんです、お母さんと。」
HS「約束?」
「はい。実はお父さんもお母さんも私がデビューするの反対してたんです。そもそもアイドルになることも反対で。特に韓国のアイドルは7年契約が多いから…。でも私はアイドルになりたくて。反対を押し切ってデビューする道を選んだんです。」

なまえの両親はまだデビューには早過ぎること、それにたった7年の寿命しかない韓国アイドルに対して良いイメージを持ってなかった。

それでもなまえは諦めなくて、両親を何とか説得してデビューした。

デビューして半年後のコンサートの時、なまえは俺と両親を呼んだ。

「おっぱと両親を初めてのコンサートに呼んだ後、お母さんに言われたんです。どんなに辛くても投げ出したくなっても最低7年はアイドルとして輝きなさい。あなたを待ってくれてるファンのために。」

その時初めてなまえの両親はなまえがアイドルであることを心から認めてくれた。
なまえにとってはそれが嬉しかったんだと思う。

MG「それでも今なまえがこんなにボロボロになってるの知ったらお母さんだって…。」
「…ここに居たら怒られてるかもしれませんね、だからアイドルなんて辞めなさいって言ったのにって…。」
DK「それってどういう…」
「2人とも、もう、いないから……」

声が今にも泣きそうで、そっと背中を摩ってやるとなまえはうるうるの目を俺に向けた。

なまえだって本当は辛かったよな…。
ずっと誰にも相談できず、1人で戦ってたんだよな…。

WZ「頑張ったな、なまえ。」
「ううっ…おっぱぁぁぁ!」

怪我してない方の腕を俺の首に回して抱きついて来るなまえを抱き締める。
本当に泣き虫なんだから。

よしよしと子供をあやすように背中を撫でる。
もともと華奢だったなまえは、やっぱり昔よりも華奢になったように感じた。

SG「じゃあ…、なまえは後4年もカルミアで耐え続けるの?約束を守る為に。」

なまえが少し泣き止むと、スングァニが少し聞きにくそうに聞いてきた。

「はい、そう思ってました。でも…、もう私の居場所は無くなっちゃうかもしれないです…。」

そう言ってまた目に涙を浮かべるなまえ。

WN「何でなまえの居場所なくなるの?」
「暫くの間、活動休止になっちゃって…。」
HS「そりゃ絶対安静って言われたんだから!」

絶対安静って医者が言ってるのにさすがに仕事はさせられないから、事務所の決断は最もだと思う。
なまえには体もそうだけど、心の休息も必要だと思うし。

「そうなんですけど…、でも…、どんなに辛くても、苦しくても、カルミアが私の居場所だったから…。私が活動休止したら、きっとオンニ達は…」

そこまで言って言葉を詰まらせたなまえが何を言いたかったのか、俺らには分かった。
楽屋に挨拶に行った時のように、なまえを最初から居ないものとして扱うだろう。

別にカルミアにこだわる必要はないと俺は思う。
なまえの実力ならソロでもやっていけるし、正直ファンだって誰もなまえを責めないと思う。

でもなまえはカルミアを抜けない。
きっとあと4年は絶対に続けるだろう。

だからと言ってこんなボロボロのなまえを放っておくことは出来ない。
やっぱり何とかしないと…。

MG「そう簡単にカルミアの最強マンネ、エバちゃんの居場所は奪われないよ。エバちゃんのファンが守ってくれるよ。」
「私のファン?」
MG「そ!俺とホシヒョンとスングァニもHOPEだから勿論なまえの居場所は死守するよ!」
「え?」
SG「そうだよ!なまえの場所は僕らHOPEが絶対に守るから!だから今はゆっくり休んで!」

なまえは乱暴に涙を拭うと、顔を上げてニッコリと微笑んだ。

JN「なまえは今日どこで寝るの?ジフニのベッド?」
WZ「だな。俺はソファーか床で寝…」
「だめだよ!私が床で寝るからオッパはちゃんとベッドで寝て!」

さすがに怪我人を床で寝かせる訳にはいかないだろ。

JS「じゃあ2人で寝ればいいんじゃない?」
WZ「は?」
「お!それいいですね!おっぱ、一緒に寝よ!」
WZ「え?いや、それは…。」

そりゃ昔は一緒の布団で寝たことをあったけど、いくらなまえがエギだからと言ってさすがに一緒に寝るのは…。

「オッパに拒否られました…。」
WZ「拒否じゃなくて、その…」
WN「じゃあ俺と寝るか?ウォヌオッパって言えるようになるまで寝たらだめだけどな。」
「え?じゃあ今日は徹夜ですよ?」

いや、だめだろ。
いくら何でも今日会った男のベッドで寝るなんて、なまえもウォヌも何考えてんだ?

WZ「ウォヌに迷惑だから俺のベッドで寝ろ。」
「おっぱは?」
WZ「お、俺も一緒に寝るから。それならいいだろ?」
「うん!」

子供の時と変わらない無邪気な笑顔で頷くなまえに、思わずため息がもれた。

WZ「でもベッドは違うけど他のメンバーもいるけどいいか?」
「うん、皆さんが大丈夫だったら。迷惑ならリビング借りるよ?」
JH「迷惑じゃないよ、皆んなで一緒に寝ようね。」
「はい!」

パジャマパーティーだ!なんてはしゃいでるなまえに、俺らは顔を見合わせて笑った。

なまえにはいつまでもこうやって何も考えずただ笑っててほしい。
辛い想いなんてもうして欲しくない…。

その後片付けをする皆んなの手伝いをするって言いながらほぼ邪魔してたなまえを回収し、先に風呂に入れと俺のパンツとバスタオル、部屋着を置いて脱衣所に押し込んだ。

「おっぱー!脱げない!」
WZ「はぁ!?」
JH「おっぱが行くよ〜!」
WZ「ひょん!」

そうか、あいつ肩動かせないから脱げないのか。
…え?

「おっぱー!!!」
WN「ジフナが行かないなら俺が行こうか?」
MG「俺が行く!妹いるし!」
WZ「関係ないだろ。今行くから待て!」

はぁと溜め息をつき、ニヤニヤしてるメンバーを睨んでから脱衣所に行く。

WZ「開けるけど裸じゃないよな?」
「うん!まだ大丈夫!」

まだって…。開けるぞと声を掛けてからドアを開ける。

WZ「目つぶって脱がせるから、風呂の中入ったら声掛けて。」
「何〜照れてんのおっぱ?」
WZ「ば、ばか!ほら、いいから脱がせるぞ!」

いひひと悪戯に笑ってるなまえに溜め息をついてから、目を閉じなまえの着てたTシャツを脱がせる。

「ありがとー!今全部脱ぐから待ってねー!」
WZ「報告しなくていいわ!」

何でなまえはこうも危機感がないんだ。
いや、違うな。なまえの中できっと俺はあの日のままの俺で、なまえもあの日のままなんだろうな…。

「もう開けていいよー!」
WZ「ん。部屋着前チャックのやつに替えとくから。それなら1人で脱ぎ着できるだろ?」
「んー、たぶん?出来なかったらまたオッパ呼ぶー!」

いや、呼ぶな。
まあ、いいや、取り敢えず部屋着をトレーナーからパーカーに替えてからリビングに戻ったら、案の定色々聞かれたけど、無視しといた。




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