【06 秘密ーWNー】

MG「ウォヌヒョン、もしかしてなまえと知り合い?」
SG「え!?」
HS「ウォヌ!そうなのか!?」

カルミアの楽屋から出るや否や、俺を取り囲むミンギュ、スングァニ、ホシ。
ミンギュの声に驚いたように振り向く、ドギョミ、チャニ。

WN「んなわけあるか。」
HS「だ、だよな!びっくりした。」

もし俺がなまえと知り合いなら、あんな所に置いとく訳ない。

MG「でも親しげに話してたじゃん。」

いや、あれの何処が親しげなんだよ。

SG「確かに!ヒョンが女の子に自分から声掛けるなんて珍しい!」
WN「肩、無理しないでって言っただけだよ。」

そう言えば、何だそっかって納得した後、あー俺ももっと優しく気遣えば良かった!なんて騒ぎながら廊下を突き進むミンギュ達。

単純な奴らで助かったよ。
でも、なまえは大丈夫って言ってたけどあれは絶対大丈夫じゃない。
ユンジェさんがなまえのペディンを下げた時、少し腫れてるように見えた。

きっとなまえはあのまま何もしないだろうし、楽屋から保冷剤とテーピング持ってくか…。

変なやつだと思われるかもしれないけど、あんなの見て見ぬふりは出来ない。

「………ヤ、ウォヌヤ!おい!」

ジョンハニヒョンが俺を呼んでることに気付かなかった。

WN「…ん?あ、ごめん、何?」
JH「お前、何か知ってんの?」
WN「何を?」
JH「カルミアってか、なまえちゃんのこと。」

ジョンハニヒョンの言葉に前を歩いてたミョンホが振り返った。
ミョンホが心配してるのも分かる。
俺だってもちろん心配だ。

でも彼女が必死に隠してるのに、赤の他人の俺がペラペラ喋ってもいいことなんだろうか?

WN「…ごめん、ヒョン。まだ言えない。」
JH「…そっか。分かったよ。」

俺の肩をポンっと叩き、シュアヒョンの元に戻るヒョン。
ありがとう、深く聞かないでくれて。

楽屋に戻ると、カルミアやなまえについて盛り上がるメンバー。
みんなにバレないようにこっそりと保冷剤やテーピングを取る。

DK「わー!珍しい!ヒョンがお菓子選んでる!」
WZ「うるせぇ。」

お菓子なんて滅多に食べないジフニがお菓子と栄養ドリンクを持って俺の元に来た。

WZ「これも。」
WN「…え?」
WZ「それ、なまえのとこ、持ってくんだろ。だからこれも持ってって。」

ジフニも何か知ってるんだろうか。
俺にお菓子と栄養ドリンクを渡すと、ドサッと椅子に座った。

まあ、いい。詳しいことは今度聞こう。
今はなまえのところに行かなきゃ。

近くにあったビニール袋に保冷剤やお菓子を入れ、こっそりと楽屋を抜け出し、カルミアの楽屋へ向かう。

なまえはきっとまたあの倉庫にいる気がする。
廊下を少し急いで歩いてると、ペディンを着たなまえがふらふらと歩いてるのが見えて、思わず名前を叫んだ。

WN「すみません、呼び捨てで呼んでしまって…。」
「いえ…。」
WN「あの、これ。」

スッとビニール袋を差し出すと、少し不思議そうに袋を見てたあと、俺を見上げるなまえ。

「…これは?」
WN「保冷剤とテーピングです。あと、栄養ドリンクとか、お菓子とか…、俺らの楽屋からこっそり持って来ました。」
「…え?」

驚いて目をパチパチしてるなまえは、テレビで見るよりも幼く見える。

WN「後輩のくせに烏滸がましくてすみません。でも、何かしたくて…。」
「…ありがとうございます。嬉しいです!」

そう言って少しだけ微笑んでくれたなまえは、やっぱり画面で見るよりも幼い。

WN「肩、痛みますか?」
「…大丈夫です。」

さっと俺から目を逸らし大丈夫だなんて見え見えの嘘を吐く。

WN「なまえって嘘吐くの下手ですね。」
「…え。」
WN「こっち。」

驚いてるなまえの手を掴み、倉庫に向かった。

WN「ちょっと失礼します。」
「…え、あっ…。」

ペディンを下ろし肩を見る。
華奢な肩が、明らかに腫れてるのが薄暗くても分かる。
これで痛くない訳がない。

WN「冷やしますね。」
「…つっめた……。」
WN「我慢して。」

本当だったらあったかい楽屋でやってあげるべきなんだろうけど、なまえを俺の楽屋に連れてく訳にも行かない。

WN「はい、お菓子でも食べててください。」
「…え。」
WN「細過ぎです。」
「…すみません……。」

なまえは素直にお菓子を受け取ると、パクッと一口頬ばる。

「…美味しい……。」
WN「良かった。マネージャーに言って今日はパフォーマンスしない方がいいです。病院行ってください。」

こんな短時間で腫れが引く訳なんてない。
この先もアイドルを続けるなら、絶対に病院に行くべきだと思う。

「ありがとうございます。でも、今日は出ないと…。」
WN「…何でですか?」

なまえは少し俯いてからゆっくりと顔を上げる。

「私のステージを、待ってる人がいるので。」
WN「それはそうだけど!」
「これくらい、大丈夫ですから。」
WN「でも…」
「大丈夫です。終わってから病院行きますから。」

なまえがファン想いなのは有名だ。
でもファンの人達だって、こんな無理してるなまえを見たい訳じゃないんじゃないか。

そう思ったけど、その言葉をなまえに伝えることは出来なかった。

WN「じゃあせめてテーピングさせてください。衣装は長袖ですよね?」
「まあそうですけど…。」

なまえの衣装は、他のメンバーよりも露出が少ない。だから、長袖である確信はあった。

WN「じゃあ大丈夫ですね。」

まだ何か言いたそうななまえを他所に、淡々と肩をテーピングする。

WN「これで少しは楽になったはずです。どうですか?」

恐る恐る肩を動かすなまえ。

「…さっきよりは…。あ、でも、オープニングはこのドレスだから…見えちゃう…。折角テーピングしてもらったのに、すみません。」
WN「……ちょっと待ってて下さい。」
「…え?」
WN「すぐ戻るんで絶対動かないで、ここに居て下さい。いいですね?」

目を丸くしながらもコクリと頷くなまえを置いて、楽屋まで走る。

戻る途中、他の出演者とすれ違ったけど、立ち止まって挨拶してる時間はない。
ペコリと頭を下げ急いで楽屋に向かう。

DN「ヒョン!何処行ってたんですか?そろそろオープニングですよ。」
WN「ちょっとな。ごめん。ジフナ。」

チャニの肩を叩き、スマホを見てるジフニを呼ぶ。

WZ「ん?」
WN「上着貸して。」
WZ「は?俺の?何で?」

怪訝な表情で俺を見るジフニ。
どうせバレるしなまえに貸すと伝えようか。
本当は俺のを貸してあげてもいいけど、さすがに俺のじゃ大きすぎる。

ジフニのでも大きいとは思うけど、まだマシなサイズ感だと思った。

WN「…実はち…」
WZ「ん。」
WN「え?いいの?」
WZ「うん、早く持ってけ。」

…やっぱりジフニは何か知ってる。

WN「ありがとう。」
WZ「ん。」

ジフニの上着を受け取り急いでなまえの元に戻る。
楽屋を出る前、スンチョリヒョンとマネヒョンが俺の名前を呼んだ気がしたけど…。

急いで倉庫の入り口に戻ると、なまえは言われた通りちゃんと待っていた。

WN「これ着て。」
「え?」
WN「オープニング。ドレスの上からこれ羽織って。そしたらテーピング見えないでしょ。」
「え?いや、でも私がこれを借りたらウォヌさんが…」

そうか、俺のだと思ってるんだ。

WN「それうちのメンバーの。俺のじゃ流石にデカ過ぎると思って。」
「確かに…。でもそのメンバーの方にご迷惑をお掛けするわけには…。」
WN「後で直接お礼言ってやって。何も言わずに貸してくれたから。」

なまえは何かを言いたげに一瞬口を開きかけた。
けれど直ぐに口を閉ざし、上着を見つめてから顔を上げた。

「はい!ありがとうございます。」

上着を大事そうに握り、深々と頭を下げるなまえの頭を撫でよと手を伸ばした時だった。

「ウォヌ。」

名前を呼ばれ振り向くとジフニが立っていた。

WN「ジフナ、そろそろオープニング?」
WZ「おう。だから呼びに来た。」
WN「ありがとう、なまえ、この人がなまえに上着貸してくれたウジ…」
「…オッパ?」

…え?今、ジフニのこと、オッパって言った?
あれ?確かなまえは俺と同じ学年のはずじゃ…。

WZ「久しぶりだな。お前も戻れ、オープニング始まる。」
「あ、うん…。あの!上着!」
WZ「いいから着とけ。後で返して。カトクくれたら取りに行くから。」
「分かった…。ありがとう。ウォヌさんもありがとうございました。」
WN「あ、は、はい…。」

ペコリと頭を下げ楽屋に戻って行くなまえの後ろ姿を見つめる。

WZ「俺らもさっさと戻るぞ。」
WN「うん。ってか、ジフナ、なまえと知り合いだったんだな。」
WZ「まあな。あいつらにはまだ黙っといて。煩いから。」

まあ、それはいいけど。
一体どんな関係なんだろう…。




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