【01. あちらをご覧ください】
…疲れたぁ。
新人がやらかしたミスの尻拭いを何で私がしなきゃいけないのか。
山積みだった資料もようやく終わりが見えてきた。
これなら今日は残業1時間くらいで済むかな…。
순영
순영
本当は飲みに行きたい、飲みに行ってここ数ヶ月の鬱憤を晴らしたいけど、生憎そんな時間もお金もない。
순영
순영
酒飲みながらってことだよ!行こうよ行こうよ!お前の分はどうせうぉぬが奢ってくれるって!
また勝手に…。しばかれるぞ。
순영
相談もあるし行こうよ!お前このままだとストレスで老けるぞ!
…誰がだよ!
てか相談ってどうせ彼女のことだろ。
『あはは!もうミンギュさんったらぁ!』
耳に入って来た新人ちゃんの声に、グッと伸びをしながらチラッとこのミスをやらかした新人ちゃんに視線を移せば、ミンギュ君と楽しそうに話してる姿、その横に積まれた朝から1ミリも減ってない資料が目に入った。
…おい、まさかずっと喋ってたんじゃないだろうな?誰があれをやるの?
まさか、私じゃないよね?
순영
ちあきー!ちあきー!てかなんでみんな無視すんの?ちあきしか反応してくれないじゃん!
そりゃこんな近い距離でカトクしてんのも謎だし、そもそも仕事中だからな一応。
지훈
ジフニの一言で大人しくなったカトクに、顔を上げて向かいのスニョンを見れば、あからさまにシュンとしてる。
지훈
え?あ、違う、ホシに言ったんじゃなくて新人とミンギュに向かって思ったことそのまま打った
…うん、ややこしいな!
まあ、確かにジフニの席とあの2人の席は近いもんな。
순영
いや、待て待て。
だから私は残業だし、金もないんだって。
SG「スアちゃん、そろそろこれやらないと…。」
『はーい!でもスア1人じゃ出来ないなぁ。1人で寂しく残業しないと。』
…は?
お前それ今週の仕事だったよな?1人じゃ大変だからってこっちにも回って来て残業して片付けてたのに、あの子は何を言ってるの?
HS「お前すげぇ顔してんな。」
「あ?」
私の向かいの席のスニョンが人の顔を見てケラケラと笑ってる。
笑い事じゃねぇんだよ!
不機嫌な私にスニョンはようやく笑うのをやめる。
HS「どうした?話聞くぞ!」
「あちらをご覧ください。朝から1ミリも減っておりません。」
親指で新人ちゃんを指差すと、スニョンは「うわ、まじか。」とため息混じりに言葉を漏らす。
HS「でもお前は自分の分もう終わるんだし、関係ないだろ?」
「そう思うか?本当にお前はそう思うのか!」
私の言葉にスニョンは自信無さげに笑いながら、頭を掻く。
それもそうだ、実際あの子の尻拭いはいつも私とシウォンオンニがさせられてるんだから。
そんな頼れるオンニも先週から育休に入ってしまった。
HS「お、俺も手伝ってやるから!だからさっさと終わらせて飲みに行こ!な?あ、ほら!うぉぬも手伝うってよ!」
WN「……は?」
ちょうど会議から戻って来たうぉぬは瞬時に状況を理解したのか、ため息を吐きながら私の頭に手をポンっと置く。
WN「お前ら勝手に話進め過ぎ。」
HS「だってあの子来てからちあき老けたじゃん?「おい。」憂さ晴らしさないと!更に彼氏できなくなるじゃん!「おい!」婚期遅れてお局おばさんになった「おい!スニョア!お前!」ごめんごめん!」
顔の前で手を合わせながら、謝るスニョンに、私のため息とウォヌのため息が重なった。
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