【01 JH】

『今日から暫くの間、なまえは活動を休止する。取り敢えず後でまた来る。詳しいことはその時に話す。』

それだけ伝え宿舎を出て行ったマネヒョンに、驚きを隠せないメンバーと、意味が分からず呆気に取られてるメンバー、そして何の興味もないって顔をしてるメンバー。

MG「え、ちょっ、ヒョン!」
DK「待ってマネヒョン!」

出て行ったマネヒョンを慌てて追いかけて行ったのは、やっぱりミンギュとドギョミ。

驚きを隠せてないのは、ジス、ジュン、スングァニ、ジア。
意味が分からず呆気に取られてるのは、クプス、ホシ、ミョンホ、ボノニ、ディノ。
たいして興味ないって感じで表情ひとつ変わらないのは、ジフニ、ウォヌ、そして俺。

確かに昨日のコンサートの打ち上げになまえは来なかった。体調でも悪いのか、よっぽど疲れているのだろうとそんな風に思ってた。

今も宿舎のリビングに全員集合って言われたのに、なまえとマネヌナが居ないとは思った。でも、アイツのことだから気付いたらいつものようにどっかに座ってるもんだと思ってた。

そもそもあいつは居たとしても気付かないくらい存在感を消す時がある。だから、あいつが居なくてもそんなに気にするやつは居なかった。

JA「…わ、私も理由聞きに行かなきゃ…!」
SG「ヌナ…。」

泣き出してしまったジアにそっと近付き、その大きな瞳から流れる涙を拭う。

JA「ハニ…私、なまえの…たった1人のオンニなのに…それなのに…」

何も知らなかった。

そう言って泣きじゃくるジアを抱き締め背中をさする。
ジアだけが知らなかったわけじゃない。
反応を見る限りクプスもミンギュ達ですら、知らなかったのだろう。

きっとここにいる誰もなまえが活動休止することを知らないんだと思う。

SG「クプスヒョンは知ってたんですか?」
SC「…いや、俺も、今初めて聞いた……。」

口に手を当て参ったと言うように、少し困ったような表情を浮かべるクプス。

SG「ジュナヒョンは!?ジュナヒョンもミョンホヒョンもなまえヌナと仲良かっ…」

スングァニの言葉が途中で途切れた。
何事かとスングァニに視線を移すと、驚いたように目を見開いてるスングァニがいて、その視線の先を追う。

MH「……ヒョン…。」
JN「…ごめっ……。」
MH「ヒョン、待って!」

普段絶対に涙を流さないジュニが、静かに泣いていた。
謝りながら宿舎を飛び出して行ったジュニをミョンホが追い掛けて行く。

どんよりとしたリビングルーム。
オチョナのカムバックも控えてるし、これから2回目のアジアツアーだってある。
こんな時に何でだ?

アジアツアーには日本での公演も控えてる。あいつの故郷でのライブだ。それなのに活動休止?

昨日まであいつは普通だった。
コンサートだって、いつも通りにしてたはずだ。

SC「…昨日と一昨日、なまえ具合悪いとか、体調悪いとか何かあったか?いつもと違うところとかなかったか?」

この場に残ってるメンバーに聞いたところで、誰1人知ってるはずもなく、みんな小さく首を振る。
クプスはだよなと呟き髪の毛を掻きむしる。

SC「取り敢えずヒョンが後から詳しく説明してくれるって言うし、それまでみんな部屋に戻っていいぞ。」
VN「僕ジュニヒョン達探してくる。」
DN「僕も行く!」

マンネ2人が宿舎を出て行く。
さすがにこの敷地からは出て行ってないだろうから、すぐ見つかるだろう。

取り敢えず、俺はジアを落ち着かせないとな…。

JH「1回部屋戻ろう?」

動こうとしないジアの顔を覗き込む。

JH「ジア、今日はもうゆっくりしよう。まだコンサートの疲れも残ってるでしょ?」
JA「…なまえは?なまえはどこにいるの?」

そんな事、俺に聞かれて分かるはずがない。
俺が知るはずもない。

JH「…知らないよ。」
JS「きっと部屋に居るよ。だから早く戻ろう?」

ね?っと優しく微笑むジスにコクリと頷きようやく動き出したジアの頭を撫で俺も帰る準備をする。

何でなまえが急に活動を休止するかなんて、正直見当もつかない。
きっと誰も見当なんてつかないだろう。

動こうとはするものの、震えたままのジアの背中を優しく撫でる。

暫くこのままだなとジョシュアと目を合わせ、ボーッとしてるとボノニとディノ、ジュニ達が宿舎に戻ってきた。

SG「ヒョン…」

かなり泣いたのか、真っ赤な目のジュニとミョンホに気付いたスングァニが駆け寄る。

ホシとウジは怒ってるのか、眉間にシワを寄せたまま一言も口を開かない。

それから暫くして、ミンギュ、ドギョミも戻って来た。
2人の表情は怒っているような、落ち込んでいるような、腑に落ちないような、何とも言えない表情をしている。
その表情を見れば、マネヒョンが何も言わなかったことは安易に想像がつく。

きっと帰ったらアイツは部屋にいて、ちょっと体調が悪くてとか、ちょっと怪我しちゃってとか、そんな感じだろう。

MG「なまえの部屋行く。」
JA「…待って、わたしも…」

泣いてるジアを支えながらジアとなまえの部屋がある階に移動する。
メンバーも無言で俺たちの後を着いてくる。

勝手にジアとなまえの宿舎に入っていくミンギュの後を追う。

MG「なまえ!どこ!?開けるよ!……なまえ…」

勢い良くなまえの部屋のドアを開けたミンギュは一瞬顔を強張らせたかと思うと、大きな体が膝から崩れ落ちた。
そんな姿を見て、ここになまえは居ないんだと悟った。

JA「…なまえ……なまえ…。」
SC「…待て、行くな。」

クプスの制止を振り切り、なまえの部屋に駆け寄ったジアは、なまえの部屋を見た瞬間、大声を上げ泣き崩れた。

JH「ジア!」

ジアを回収するのに覗いたアイツの部屋は、まるで初めから使われていなかったかのように、綺麗に整理整頓されていた。




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