【03 MG】

空っぽになったなまえの部屋。
元々物は少なかった。でも、ここまでじゃない。

なまえの匂いが残るなまえのベッドに横になる。

なまえは今どこに居るんだろう。
何で急に活動休止なんてするんだろう。

いや、何でなんて…。
本当は分かってる。なまえがいつも辛そうにしてたことなんて分かってた…。

だけど、気軽にどうしたの?とか大丈夫なんて言える雰囲気じゃなくて、いつも気付かない振りをしてた。

SG「ヌナに会いたい…。」

膝を抱えたまま呟くスングァンにミョンホが僕もと呟く。

そんなの俺だって会いたいに決まってる。
会いたくて会いたくて仕方がない。会ってごめんねって、辛かったねって抱き締めたい。

どれくらい経ったのだろうか。
ぼーっとしていると玄関のドアが開く音がした。

なまえかもしれないと思って勢い良くベッドから飛び出したのに、そこに居たのは浮かない表情を浮かべたマネヒョンだった。
マネヒョンに言われてリビングに全員が集まった。

ジアヌナはずっと泣いていたのか、目を真っ赤に腫らしていた。

『今朝も言ったけど、なまえは暫くの間活動を休止する。』
SG「暫くって?1週間?2週間?」
『期限は分からない。なまえ次第だ…。』

ズキンと心臓が痛くなった。
嫌だ…。

WZ「…活動休止の原因は?」
『…それは、俺の口からは言えない。』
DK「それってどう言う…」

マネヒョンは俺らの顔を一人一人ゆっくりと見つめる。

『…何人かは心当たりがありそうだけどな。』

マネヒョンの言葉にズキっと心臓が痛くなった。
別に責められてる訳じゃない。
それなのに、どこから責められてる気分になるのは、俺がなまえに手を差し伸べなかった自覚があるからだ。

嫌だ…。
このままじゃ、なまえが…。

DK「なまえは僕たちのこと嫌いになったのかな…。」
『そうじゃない…。』

…消えていってしまう……。

JN「なまえは…今何処にいるんですか?」
『……今、なまえは日本にいる。』

日本?
慌てて顔を上げマネヒョンを見つめる。

MG「日本の何処!?俺、なまえに会っ…」
『だめだ。会うな。詳しい場所も教えない。』
MH「…なんで?」
『なまえがそれを望んでない。』

頭を鈍器で強く殴られたかのような衝撃だった。
なまえは俺らに会いたくないの?

何で…?

DN「ヌナ…戻って来るよね?」

ディノの言葉が空を切って乾いた。
誰1人なまえが必ず戻って来ると、自信を持って言えなかった。

戻ってきて欲しい、そう思ってるのに、戻って来てくれる自信はなかった。

無言のままなまえの部屋に戻り再びベッドに潜り込む。

なまえは無口だ。
自分からメンバーに話しかけてくることはないし、バラエティーの収録でも、歌番組でも、ゴセですら、いつもメンバーの後ろに居て、ただメンバーのことを他人事のように見て、作ったような笑顔で笑ってるような、そんな子だ。

元々そんな性格なのか、それは俺には分からないし、メンバーも誰も知らないと思う。
少なくとも俺らに合流した時から、すでになまえは今のなまえだったように思う。

本当の笑顔すら俺らは見たことがない気がする。

なまえは質問には一応は答えてくれる。
でも、深くは話そうとしないし、なまえから俺たちに質問してくることはない。

オフの日や出掛ける時に誘っても、いつも断られて一度も一緒に出かけた事はないし、カトクも“はい”とか“分かった”とかそんな感じ。
だから、どこかとっつきにくい感じはずっとあった。

でも同じ歳だし、同じヒポチだし、メンバーの中では話す時間が多かったと思う。
とは言っても一方的に俺が話しかけてただけなんだけど…。

こんなことになるならもっとちゃんと向かいあれば良かった…。多少強引にでも、嫌がられたとしても、ちゃんと話せば良かった…。

なまえと撮った唯一のツーショット写真を見つめる。
この写真一枚撮るのに本当に苦労したっけ…。

初めて一位を取った時、団体写真を撮った後にメンバー同士嬉しくてトロフィーを持ってあっちこっちで写真撮影をした。
この時もなまえは一歩下がってて、なんなら写真に映らないように隅っこにいた。

そんななまえに写真撮ろうって駆け寄ると、私は大丈夫と首を振り逃げるから、無理矢理バックハグで捕まえて、そのまま写メを撮った。

なまえは極端に俺たちと絡むのを嫌がっていたように思う。

俺たちのことが嫌いなのか、本当はSEVENTEENに入りたくなかったのか。
それは分からないけどなまえがこのまま、居なくなってしまう気がして怖い。

練習生時代、なまえが辞めようとしてた時があった。

あの時はたまたま俺とミョンホとジュニヒョンが気付いて止めたから良かったけど…。
でもやっぱりあの時からなまえはずっと辞めたかったんだろうか…。

JN「僕、なまえの事は分かってるつもりだった。いっぱい話すわけじゃないけど、心は通じ合ってると思ってた…。」
MH「それを言ったら僕もだよ。僕はなまえとの共通点がメンバーの誰よりもあったから。なまえと同時期にみんなに合流して、2人とも韓国語分からなくて…、漢字でやり取りして…。もっといっぱい話せば良かった…。」

膝を抱え顔を埋めるミョンホに、ジュニヒョンが僕もって呟く。

どんなに後悔してたってここになまえは居ないのに、俺たちから後悔の念がなくなることはない。

なまえは日本のどこにいるのか、きっとしつこく聞いてもマネヒョンもマネヌナも教えてはくれないだろう。

地元ぐらい聞いておけば良かった…。
あの取り乱した様子だと、ジアヌナも知らないのだろう。

目撃情報とか上がるまで待つしかないな…。
いくらなまえが目立つメンバーじゃないとは言え、さすがに目撃情報は上がると思っていた。




それなのに、なまえが活動休止してから3ヶ月経った今も、目撃情報は一切上がってこなかった。




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