アイツが活動を休止した日から、3ヶ月が過ぎた。
グループのカトクでも、個人のカトクでも、誰が連絡しても連絡は取れなかったし、既読すらもつかないまま。
マネヌナとマネヒョンも連絡は取ってないと言っていた。
初めはさすがに嘘だと思ったけど、マネヌナの様子を見ると本当に連絡は取っていないんだと分かった。
アイツが休んでる間も俺らに休みはなくて、カムバックを終え、今はアジアツアー中だ。
その合間を縫って来年頭に出す予定の曲を作っている。
カムバック時も今回のアジアツアーでも、なまえの声はそのまま残す形にした。
誰か他のメンバーに振ろうって話も勿論あった。
だけど、俺がそれを拒否した。
うちには歌の上手なメンバーがいっぱいいる。
なまえの出す高音パートも俺、ドギョムとスングァニなら出せるし、ラップパートも高音パートならボノニ、低音ならヒポチメンバーなら完璧にこなすだろう。
ジョンハニヒョンはなまえの声を消した方がいいと言った。
残ってたらジアヌナが泣き出すからと。
確かにジアヌナ以外にも何人かは泣き出すんだろうとは思う。
だけど、どうしてもなまえのパートは残したかった。
WZ「俺は残したい。」
その一言でなまえの声はそのまま残すことになった。
誰にも言ったことがないからメンバーは知らないけど、俺はなまえの声が好きだ。
唯一無二の誰とも被らない歌声、曲に合わせて雰囲気すらも変えてしまうなまえの歌声が。
なまえがセブチに加入したのも、俺のせいだ。
たまたま練習室の前を通りかかった時に聞こえて来たなまえの歌声とその歌ってる姿に惚れた。
透き通るような、でも芯のある強い歌声。
日本の歌で歌詞の意味は分からなかった。それでも息をするのも忘れるくらい聞き惚れてしまった。
もっと聴きたい、もっと色んな曲を聴きたい、もっと見たい、俺の作る曲を歌って欲しい。そう強く思った。
だから、メンバーに相談もせずどうしてもこの子を入れたいとその足で代表に直談判した。
元々ジアヌナ以外にも女の子を入れる話はあって、何人か一緒に練習したりもした。
でもしっくりくる子は居なかったし、そこそこ実力のある子も練習の辛さに辞めていった。
代表はなまえはまだ練習生になって2ヶ月で、歌はいいけど踊りは全然だし、韓国語もほとんど喋れないからと渋っていたけど、俺がなまえ以外は認めないと言って無理矢理承諾させた。
代表には俺がなまえを推薦したことは黙っていてもらった。
初めて俺らと合流したのは、俺が代表に直談判しに行ってからちょうど1ヶ月後、ミョンホと同じ日だった。ミョンホも韓国語が出来なかったけど、ジュンと同じ中国人って事で仲良くなってた。
でもなまえは日本人でうちに日本人メンバーは居ないし、日本語も話せるやつは居なかったし、急に来た女の子の追加メンバーに戸惑っているようだった。
ジアは同じ女の子だと喜んで最初の頃は一生懸命話しかけてたように思う。
ジアに続くようにミンギュ、ジュン、ミョンホとよく一緒に居るようになった。
と、言うかいつもなまえの周りにくっついてるみたいだった。
代表が言ってた通りなまえは歌以外ダメだった。
それでも努力して合流から1ヶ月後には、俺らと振りを完璧に合わせられるようになってた。
なんならジアヌナよりも上手だと思った。
あのホシですらなまえの成長ぶりに息を呑むほどだった。
歌ってる時以外のなまえは大人しくて、自分から俺らに話しかけてくることはなかった。
なまえはもう、戻って来ないんじゃないか…。
そんな不安が俺らの中でどんどん大きくなってくる。
パソコンで何となくなまえの名前を検索してみた。
WZ「…なんだこれ……。」
“なまえなんてこのまま辞めればいいのに”
“マジいらない、お荷物”
“ジアもいらないけど、なまえはもっといらない”
“脱退しろってデモトラでも走らす?”
“今のセブチでいい!てか正直ジアもいらないけど”
“まあでもなまえが1番ゴミだから、今のままでお願いしまーす!”
“献花送ろうかwww”
…ひどい。
初めて見たなまえへの書き込みに吐き気がする。
なまえが女だからか?それとも日本人だからか?
分からないけれどなまえへの書き込みは本当に酷いものだった。
確かにライブ中にもなまえへの悪意あるメッセージを掲げてる奴はいる。
でもここまで酷かったとは…。
“ごめん、俺なまえペンなんだけどさ、なまえ歌めっちゃ上手いし、踊りもメンバーと一寸も狂わず踊れてるんだけど。顔もめっちゃ可愛いし。お前ら自分がブスだからってなまえいじめんなよ。”
リアルタイムで今書き込まれた文は、なまえのファンの人だった。
その書き込みに凄い勢いで連投が始まる。、
“は?お前見る目なさすぎwwwジアのが可愛いだろwwwまじなまえはいらないゴミ”
連投してる奴のIDを見るとこいつはジアヌナのファンなのだろうか。
“私もセブプロの時からなまえペン。あんな逸材他にいないよ。なまえや…、もうセブチやめよ。私は昔みたいにもっと楽しそうに歌うなまえが見たい。”
…昔みたいに楽しそうに歌うなまえが見たい。
その言葉にドクンと胸が痛くなった。
なまえの歌はうまい。確かに上手さは変わってない。でも、この子が言うように、最近のなまえは楽しそうに歌ってはいない…。
SEVENTEENに入らなかったら、なまえは今も楽しそうに歌っていたのだろうか…。
でも辞めないで欲しい。
やっぱりなまえには俺の曲を歌ってて欲しい…。
ああ、俺ってわがままだな…。
なまえに帰って来て欲しくて、行き詰まっていた作詞がするすると進んだ。
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