ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode15

『返事の向こう側』

― 返ってきた言葉が、少しずつ人を変えていく。 ―

Day:Monday(共同生活15日目)



Scene3

『少し変わった日常』

Monday|11:00 AM



午前11時。

404 HOUSEは朝の慌ただしさが過ぎ、

穏やかな静けさに包まれていた。



リビングの大きな窓から、

柔らかな陽射しが差し込む。



ソファにはウォヌが座り、

膝の上に一冊の小説を広げていた。



ページをめくる音だけが、

静かな空間に心地よく響く。



しばらくして、

洗濯物を抱えたソヨンがリビングへ入ってくる。



「あれ?」



ウォヌを見つけると、

少し驚いたように笑った。



「今日は部屋じゃないんですね。」



ウォヌは本から目を上げる。



「あ……。」



少しだけ照れたように笑う。



「たまには。」



「いつもは自室で読んでるのに。」



「今日は、こっちのほうが落ち着く気がして。」



「そうなんですね。」



ソヨンは微笑みながら、

洗濯物を丁寧に畳み始めた。



しばらく沈黙が流れる。



それでも、

気まずさはなかった。



本を読む音。



洗濯物を畳む音。



窓の外から聞こえる鳥の声。



どれも404 HOUSEの日常になっていた。



ソヨンがふと口を開く。



「昨日のDiaryの返事、読みました?」



ウォヌは少しだけ驚いた表情を見せる。



「……読みました。」



「どうでした?」



少し考えてから答える。



「うれしかったです。」



「短い言葉だったんですけど。」



「自分の言葉をちゃんと受け取ってもらえたんだなって思いました。」



ソヨンは優しく頷く。



「私も同じでした。」



「返事って、不思議ですよね。」



「誰かが自分のために時間を使って書いてくれたって思うだけで、少し元気になります。」



ウォヌは静かに微笑んだ。



「だから……。」



「今日は部屋じゃなくて、ここにいました。」



「みんながいる音を聞きながら本を読んでみようかなって。」



ソヨンはその言葉に、

少し目を丸くする。



「ウォヌさんからそんな言葉が聞けるなんて。」



「共同生活って、すごいですね。」



ウォヌは照れくさそうに笑う。



「そうかもしれません。」



その頃、

ダイニングではチアキがフライトの最終確認をしていた。



ふとリビングを見ると、

ソヨンとウォヌが穏やかに話している姿が目に入る。



以前なら、

静かなウォヌは一人で過ごしていた。



でも今は、

誰かと同じ空間で、

自然に時間を共有している。



チアキは小さく微笑んだ。



「ウォヌさん。」



「今日はリビングなんですね。」



ウォヌは本を閉じて答える。



「はい。」



「意外と悪くないです。」



「私もそう思います。」



チアキは笑顔で頷く。



短いやり取り。



それだけなのに、

部屋の空気はどこか温かかった。



返事を読んで、

劇的に何かが変わるわけではない。



でも、

人はほんの少しだけ勇気をもらう。



その小さな勇気が、

いつもの場所を、

少しだけ違う景色に変えていた。



【STAFF NOTE】

共同生活15日目。



ウォヌが自室ではなく、

リビングで本を読んだのは初めてだった。



誰かと話したかったわけではない。



誰かに見てほしかったわけでもない。



ただ、

「誰かがいる空間」が心地よいと感じ始めた。



それは、

共同生活を始めた頃のウォヌにはなかった変化。



返事が変えたのは、

相手との距離だけではない。



自分自身の過ごし方も、

少しずつ変わり始めていた。



次回 Scene4

Monday|12:30 PM

『いってらっしゃい』

午後のフライトへ向かうチアキ。

玄関には自然と数人のメンバーが集まる。

「チアキ、気をつけて。」

その何気ない一言が、

もう特別ではなく、

404 HOUSEの日常になっていた。




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