ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode15

『返事の向こう側』

― 返ってきた言葉が、少しずつ人を変えていく。 ―

Day:Monday(共同生活15日目)



Scene6

『おかえり』

Monday|07:00 PM



夕暮れが街をオレンジ色に染める頃。

404 HOUSEにも、一日の終わりが少しずつ戻ってきていた。

キッチンではソヨンが夕食の仕上げをし、

ユナがサラダを盛り付ける。

リビングではウォヌがテレビのニュースを眺めながら、ゆっくりとコーヒーを飲んでいた。



19:02 PM

玄関の電子ロックが鳴る。



「ただいま。」



最初に帰ってきたのはスンチョルだった。

ネクタイを少し緩め、肩を回しながらリビングへ入る。



「おかえり。」



ソヨンが笑顔で迎える。



「ありがとう。」



「今日は長かった?」

ユナが尋ねる。



「思ったよりね。」

「でも帰ってきたら疲れが半分くらいなくなる。」



その何気ない一言に、

リビングの空気がふっと和らいだ。



19:10 PM

再び玄関が開く。



「ただいまー。」



今度はチェリン。

大きく伸びをしながら靴を脱ぐ。



「おかえり!」



「今日も撮影?」

スングァンがソファから顔を上げる。



「うん。」

「でも無事終わった!」



「それは良かった。」



自然と会話が始まり、

リビングには笑い声が広がる。



19:18 PM

勢いよくドアが開く。



「ただいま!」



ラジオ収録を終えたスングァンだった。



「おかえり!」



「お腹空いたー!」



「あと少しでご飯ですよ。」

ソヨンが笑う。



「待ちます!」



その返事にみんなが笑う。



そして——

19:34 PM

玄関のドアが静かに開いた。



「ただいま帰りました。」



チアキだった。

韓国国内線のフライトを終え、

制服姿のままキャリーケースを引いて帰ってくる。

朝と変わらない綺麗な身だしなみ。

それでも、その表情には一日の疲れが少しだけ見えていた。



「おかえり、チアキ。」



一番最初に声をかけたのはミンギュだった。

今日は昼休憩で一度家に戻っていたが、

仕事を終え、少し前に再び帰宅していた。



「おかえり。」



「お疲れさま。」



「フライトどうだった?」



次々と声がかかる。



チアキは少し照れたように笑った。



「ただいまです。」



「今日は揺れも少なくて、無事終わりました。」



「良かった。」

ミンギュが安心したように頷く。



「ありがとうございます。」



チアキがキャリーケースを持ち上げようとすると、

ミンギュは自然に手を伸ばした。



「持つよ。」



「え、大丈夫ですよ。」



「今日は仕事だったんだから。」



「部屋まで運ぶくらいさせて。」



あまりにも自然な言葉に、

チアキは少しだけ笑ってしまう。



「じゃあ……お願いします。」



「了解。」



ミンギュはキャリーケースを軽々と持ち上げ、

階段へ向かった。



その後ろ姿を見ながら、

スングァンがニヤリと笑う。



「ミンギュさん、最近すごく自然ですよね。」



「何が?」



「そういうところ。」



「え?」



「もう説明しなくても動いてるじゃないですか。」



ミンギュは少し照れながら笑った。



「困ってそうだったから。」



「それだけ。」



ウォヌが静かに口を開く。



「……そういう”それだけ”が、一番難しいんだけどね。」



その言葉に、

ミンギュは照れくさそうに頭をかいた。



数分後。

チアキが着替えを済ませてリビングへ戻ってくる。

ラフな部屋着姿になると、

さっきまでの客室乗務員としての凛とした雰囲気は消え、

いつもの柔らかな笑顔に戻っていた。



「お腹空きました。」



「ちょうどご飯できました!」

ソヨンが声をかける。



ダイニングテーブルには、

11人分の夕食が並んでいく。



誰かが帰ってくる。

誰かが迎える。

誰かが「お疲れさま」と言う。



そんな何気ない毎日が、

もう特別ではなくなっていた。



404 HOUSEは、

少しずつ”共同生活の場所”ではなく、

“帰ってくる家”になり始めていた。



【STAFF NOTE】

共同生活15日目。



「おかえり。」



最初の頃は少し照れくさかったその言葉も、

今では誰も迷わず口にする。



そして今日、

チアキが帰宅した瞬間、

真っ先に立ち上がったのはミンギュだった。



本人に自覚はない。



だからこそ、

その行動は自然だった。



人は、

特別なことをした時よりも、

“無意識”の行動に本当の気持ちが表れる。



スタッフだけが、

その小さな変化を静かに見守っていた。



次回 Scene7

Monday|08:00 PM

『誰かのために』

夕食のあと、

冷蔵庫を開けたミンギュが牛乳が切れていることに気づく。

何気なく冷蔵庫へ一本の牛乳を入れるその行動に、

“誰かを思いやる日常”が映し出される。




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