ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode2

『知らなかった隣人』



Scene5

『誰かが見ていた』

【UNSEEN(未公開映像)】



午前0時26分。

ROOM 404。



リビングの照明は消えていた。



11人の声がなくなった家。

昼間のにぎやかさが嘘のように静かになっている。



しかし。

固定カメラだけは、

この家で起きる小さな変化を記録していた。





最初に映ったのは、

キッチンへ向かう一人の影。



チアキだった。



「……あ」



冷蔵庫を開ける。



昼間、庭作業をしていた時に使った水筒。

誰かが置いたままのタオル。



彼女は少し迷った。



「明日でもいいかな」



そう呟く。



でも。



結局、タオルを洗濯かごへ入れ、

水筒を洗い始めた。





その姿を。



2階の階段から見ている人がいた。



ジョンハン。





彼は眠れずに部屋を出てきた。



心理カウンセラーという仕事柄なのか。



環境が変わった夜は、

人の気配に敏感になる。



そして。



リビングに明かりがついていることに気付いた。





「またやってる」



小さく呟く。





もちろん、

昨日の夜のことを思い出していた。



食器を片付けていたチアキ。



誰かに頼まれたわけでもないのに、

自然に動いていた姿。





ジョンハンは、

しばらくその場から動かなかった。





【UNSEEN】

スタッフカメラ。

00:31。



ナレーション。



「この時、チアキ本人は知らなかった」



「自分の何気ない行動を見ていた人がいたことを」







チアキが振り返る。



「あれ?」



ジョンハンに気付く。



「まだ寝てなかったんですか?」





「はい」



「チアキさんもですか?」





「ちょっと片付けだけ」





ジョンハンは少し笑った。



「昨日もしていましたよね」



チアキが少し驚く。



「見てたんですか?」





「少しだけ」





「すみません」



「謝ることじゃないです」





ジョンハンは洗っている水筒を見る。



「でも」



「少し気になりました」





「何がですか?」





「チアキさん」



少し間。



「いつ休んでいるのかなって」





その言葉に、

チアキの手が少し止まる。





「休んでますよ」



すぐ答える。





でも。



その返事が少し早かったことを、

ジョンハンは気付いた。





「そうですか」



それ以上は聞かなかった。



彼は人の心を読む仕事をしている。



だからこそ、

踏み込みすぎないことも知っていた。





「じゃあ」



「僕も少し手伝います」





「大丈夫です」





「知っています」





「でも」



「一人でできることと、一人でするべきことは違うと思います」





チアキは少し黙った。





そして。



小さく笑った。



「ジョンハンさん」



「はい」



「カウンセラーさんみたいですね」





ジョンハンも笑う。



「仕事なので」







二人で静かに片付ける。



会話は多くない。



でも。



気まずくはなかった。







【Interview】

ジョンハン。



「チアキさんは」



「助けてくださいと言う前に、自分で解決しようとするタイプだと思いました」





「でも」



「誰でも、誰かに頼る瞬間は必要だと思います」





スタッフ。

「心配していますか?」





ジョンハンは少し考える。





「まだ」



「そこまで深く知っているわけではないので」





「ただ」



「少し気になっただけです」







午前1時。



キッチンの片付けが終わる。



「ありがとうございました」

チアキが言う。



「こちらこそ」



二人は別々の方向へ歩いていく。





しかし。



階段を上がる途中。



ジョンハンは一度だけ振り返った。





チアキはまだ、

明日の予定表を確認していた。







【UNSEEN】

別の日。

スタッフが映像を確認していた時。



編集者がある場面で停止ボタンを押した。



チアキが庭作業中。



重い鉢植えを運ぼうとしていた時。



少し離れた場所にいた人物。



ウォヌ。





彼は何も言わず、

先に鉢植えの反対側を持っていた。



「一人で大丈夫です」



チアキが言う。



「知っています」



ウォヌ。



「でも二人の方が早いです」





それだけ。





【STAFF NOTE】

この日。

スタッフが気付いた変化。



チアキは、

誰かに守られていたわけではない。



彼女自身が、

自然に周囲を見て動いていた。



だからこそ。



周りの人間も、

無意識に彼女を見るようになっていた。





まだ恋ではない。



誰も特別な感情を認めていない。



でも。



第一印象のページには、

少しずつ新しい言葉が増えていた。



「優しい人」

から。



「もっと知りたい人」

へ。





【視聴者コメント(放送後SNS)】

「ジョンハンがチアキ見てる時間長くない?」

「いや、ウォヌもさりげなく助けてるの気付いた?」

「まだ恋愛じゃないのに、この距離感がいい」

「チアキ、本人だけ気付いてなさそうなのがまた自然」

「ROOM404、派手な展開じゃないのに続きが気になる」



Episode2 完



Episode3

『秘密のプロフィール』




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