ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode16

『帰る場所』

― 特別じゃない毎日が、特別な思い出になっていく。 ―

Day:Tuesday(共同生活16日目)



Scene2

『買い出し』

Tuesday|11:00 AM



午前11時。

404 HOUSEの冷蔵庫の前に、

チアキ、ウォヌ、ソヨンの3人が集まっていた。



ソヨンが冷蔵庫の扉を開け、

中身を確認する。



「卵は少ないですね。」



「野菜も買った方がよさそうです。」

チアキがメモを取りながら言う。



「あと牛乳。」



ウォヌが冷蔵庫の棚を見る。



「昨日ミンギュさんが買ってくれたので、まだあります。」



「あ、本当ですね。」



チアキが笑う。



昨日の夜。

何気なく買ってきてくれた一本の牛乳。

誰かが気づく前に、

誰かのために準備されていたもの。



そんな小さな優しさが、

今では404 HOUSEの日常になっていた。



ソヨンがスマートフォンのメモを確認する。



「今日は何を作りましょうか?」



「みんなが帰ってきて食べられるものがいいですよね。」



チアキが考える。



「最近、韓国料理が多かったので……。」



「日本料理もいいかもしれません。」



「何が作れますか?」

ウォヌが興味深そうに聞く。



「肉じゃがとか。」



「肉じゃが。」



ウォヌが小さく復唱する。



「名前からして温かそうですね。」



その表現にチアキが笑う。



「確かに、そういう料理かもしれません。」



「じゃあ今日は肉じゃがにしましょう。」

ソヨンが決める。



「みんな好きそうです。」



3人は準備をして、

404 HOUSEを出る。



スーパー



店内を歩く3人。



ソヨンは野菜売り場で、

新鮮な食材を選ぶ。



「この白菜いいですね。」



「ソヨンさん、さすが獣医師さんですね。」



チアキが冗談っぽく言う。



「え?」



「観察力がすごいです。」



ソヨンは少し驚いたあと、

笑った。



「動物を見る時も、料理するときも……。」



「小さい変化を見る癖がついてるのかもしれません。」



その言葉を聞いたウォヌは、

静かに頷いた。



「だから、いつも誰かの変化にも気づくんですね。」



「……。」



ソヨンは少し照れたように笑う。



「そんな大したことじゃないですよ。」



「でも。」

チアキが続ける。



「この家では、すごく助かっています。」



ソヨンは嬉しそうに微笑んだ。



食材コーナー



「ウォヌさん、これはどうですか?」



チアキが商品を見せる。



「どちらがいいと思いますか?」



「……こっちですかね。」



「理由は?」



「値段が少し安くて、量が多いので。」



「主婦みたいですね。」



チアキが笑う。



ウォヌは少し困った顔をする。



「共同生活していると、こういうことを考えるようになります。」



「前なら気にしてなかったと思います。」



その言葉に、

チアキは少し嬉しそうに笑った。



404 HOUSEでの生活は、

少しずつ人を変えていた。



レジ前



買い物カゴには、

肉じゃがの材料。

サラダの野菜。

朝食用のパン。

そして、

みんなが好きなお菓子。



「スングァンさん、お菓子絶対必要ですね。」

チアキが笑う。



「分かります。」

ウォヌも珍しく笑った。



「本人がいなくても分かるんですね。」



「もう16日目ですから。」



その一言に、

3人とも自然と笑顔になる。



16日前。

相手の好きなものなんて知らなかった。



今は、

誰が何を好きか。

誰が何を食べるか。

誰が疲れて帰ってくるか。



少しずつ分かるようになっている。



帰り道



大きな買い物袋を持ちながら、

404 HOUSEへ戻る3人。



「重くないですか?」

チアキがウォヌを見る。



「大丈夫です。」



「でも、チアキも持ってますよね。」



「私は大丈夫です。」



するとソヨンが笑う。



「二人とも同じこと言ってます。」



3人で顔を見合わせ、

笑い声が広がる。



特別なデートでもない。

特別なイベントでもない。



ただスーパーへ買い物に行っただけ。



でも、

帰る場所に必要なものを、

一緒に選ぶ時間。



それもまた、

404 HOUSEだけの大切な思い出になっていた。



【STAFF NOTE】

共同生活16日目。



最初は、

「誰と同じ家に住むか」

を気にしていた11人。



今は、

「誰が何を好きか」

「誰が何を喜ぶか」

を自然に考えている。



距離が近づく瞬間は、

大きな出来事ではない。



一緒にスーパーへ行く。

献立を考える。

買い物袋を持つ。



そんな小さな日常の中に、

人を知る時間は隠れている。



次回 Scene3

Tuesday|14:00 PM

『それぞれの午後』

買い物から戻った404 HOUSE。

午後は、それぞれが自分の時間を過ごす。

静かな読書。

洗濯。

オンライン会議。

そして、

帰宅した人を迎える「おかえり」。

何気ない一日が、

少しずつ家族のような時間になっていく。




ノベルに戻る I Addict