ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode16
『帰る場所』
― 特別じゃない毎日が、特別な思い出になっていく。 ―
Day:Tuesday(共同生活16日目)
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Scene8【UNSEEN】
『誰にも見えない優しさ』
Tuesday|23:30 PM
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夜。
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404 HOUSEのリビングには、
昼間の賑やかさが嘘のような静けさが広がっていた。
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テレビは消えている。
テーブルの上には、
途中まで遊んでいたカードゲーム。
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笑い声の残りだけが、
まだこの部屋に残っているようだった。
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メンバーはそれぞれの部屋へ戻り、
リビングには数人だけが残っていた。
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ミンギュはソファに座ったまま、
スマートフォンを持っていた。
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「……。」
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仕事から帰って、
みんなと夕食を食べて、
ゲームをして。
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気づけば、
緊張していた体の力が抜けていた。
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「眠い……。」
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小さく呟いた直後。
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ミンギュはそのまま、
ソファにもたれて眠ってしまった。
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数十分後
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キッチンで水を飲みに来たチアキが、
リビングへ戻る。
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そこで、
ソファで眠っているミンギュに気づいた。
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「……。」
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テーブルには、
まだ片付けていないカード。
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ミンギュは疲れているのに、
最後までみんなと一緒にいた。
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チアキは少し迷う。
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起こすべきか。
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でも、
気持ちよさそうに眠る姿を見て、
そっと近づく。
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近くに置いてあったブランケットを手に取る。
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そして、
静かにミンギュの肩へかけた。
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「風邪ひきますよ。」
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聞こえない小さな声。
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もちろん返事はない。
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チアキは少し笑って、
カードを片付け始める。
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スタッフカメラ
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リビングの隅。
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固定カメラには、
その一部始終が映っていた。
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スタッフルーム。
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ディレクターが映像を確認する。
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数秒、
誰も話さない。
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映っているのは、
ただブランケットをかける数秒の出来事。
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でも、
そこには言葉以上のものがあった。
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スタッフ:
「……気づいてないですよね。」
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カメラマンが頷く。
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「たぶん。」
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「チアキさん、自分が優しくしてるって意識してないと思います。」
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モニターには、
ミンギュにブランケットをかけた後、
何事もなかったように食器を片付けるチアキの姿。
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翌朝
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ミンギュが目を覚ます。
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「あれ……。」
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肩にかかっているブランケットを見る。
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「……。」
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誰がかけたのか。
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すぐには分からない。
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でも、
リビングには昨日最後まで起きていた人がいた。
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ミンギュは小さく笑う。
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「ありがとう。」
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誰に向けた言葉なのか、
本人にも分からない。
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【STAFF NOTE】
共同生活16日目。
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恋は、
いつも大きな出来事から始まるわけではない。
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告白。
特別なデート。
分かりやすい言葉。
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そういうものだけが、
気持ちを動かすわけではない。
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疲れている人に、
そっとブランケットをかける。
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寒くないか気にする。
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相手が知らなくても、
相手のために動く。
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誰にも見られていない優しさ。
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その積み重ねが、
少しずつ誰かの心に残っていく。
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404 HOUSEでは、
今日も誰かの小さな優しさが、
静かに積み重なっていた。
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次回 Scene9
Tuesday|深夜
『UNSEEN』
スタッフNOTE。
恋愛より先に生まれたもの。
それは、
「この場所に帰りたい」
と思える安心だった。
→
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