ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode17

『言えない想い』

― 直接言えないからこそ、言葉にする。 ―

Day:Wednesday(共同生活17日目)



Scene1

『いつもの朝、少し違う距離』

Wednesday|07:30 AM



404 HOUSEの朝。



カーテンの隙間から差し込む光。

キッチンから聞こえる食器の音。

誰かが淹れるコーヒーの香り。



17日前とは、

同じ朝でも感じ方が違っていた。



最初の頃は、

「おはようございます。」

という言葉にも、

少しだけ緊張が混ざっていた。



でも今は。



「おはよう。」

「眠いね。」

「今日仕事何時から?」



そんな何気ない会話が、

自然に生まれている。



キッチン



チアキが朝食の準備をしていると、

後ろから声が聞こえる。



「チアキ、おはよう。」



振り返ると、

ミンギュが立っていた。



「おはようございます。」



いつものように、

チアキは丁寧に返す。



その変わらない敬語に、

ミンギュは少し笑う。



「まだ変わらないね。」



「……。」



チアキは少し困ったように笑う。



「頑張ってはいるんですけど。」



「やっぱり難しいです。」



その言葉に、

ミンギュが笑う。



「無理しなくていいよ。」



「チアキは、そのままでいいと思う。」



「ありがとうございます。」



また敬語。



その瞬間、

後ろから声が飛んでくる。



「そこ!」



スングァンだった。



「いつまでその距離なの?」



「え?」



チアキが振り返る。



「もう17日目だよ?」



「俺たち、毎日一緒にご飯食べてるんだけど。」



スニョンも笑う。



「確かに。」



「最初よりは近くなったけどね。」



ジョンハンがコーヒーを飲みながら言う。



「でもチアキが急にタメ口になったら、それはそれでびっくりするかも。」



「え、そうですか?」



「うん。」



スングァンが頷く。



「今のチアキって感じがする。」



チアキは少し考える。



そして、

小さく笑った。



「でも……。」



「いつかは使えるようになりたいです。」



その一言に、

みんな少し嬉しそうな顔をする。



「じゃあ練習しよう。」



スングァンが提案する。



「え?」



「まずは簡単なところから。」



「『ありがとう』じゃなくて、『ありがと』。」



「……。」



チアキが真剣に考える。



「……難しいです。」



その答えに、

リビングが笑いに包まれる。



08:30 AM



朝食の時間。



11人が同じテーブルを囲む。



誰かがパンを取る。

誰かがコーヒーを渡す。

誰かが昨日の話をする。



特別なことは何もない。



でも、

この景色は17日前には存在しなかった。



チアキはふと、

周りを見る。



韓国語で自然に会話する声。

笑い合う姿。

名前を呼ぶ声。



最初は、

「迷惑をかけないようにしよう」

と思っていた。



でも今は。



「今日も一緒に朝ごはんを食べたい。」



そう思うようになっていた。



玄関



出勤準備を終えたミンギュが靴を履く。



「行ってきます。」



「行ってらっしゃい。」



自然に返ってくる声。



チアキも笑顔で言う。



「気をつけて行ってきてください。」



ミンギュは一瞬だけ振り返る。



「うん。」



そして、

少し笑う。



たった一言。



でも、

その言葉を聞くために帰ってきたいと思う人がいる。



404 HOUSEの朝は、

今日も静かに始まった。



【STAFF NOTE】

共同生活17日目。



呼び方はまだ変わらない。

距離も完全には縮まっていない。



でも、

距離が近づく方法は、

言葉だけではない。



同じ朝を過ごすこと。

名前を呼ぶこと。

「行ってらっしゃい」と言うこと。



気づかないうちに、

人は少しずつ相手を自分の日常にしていく。



次回 Scene2

Wednesday|午前

『それぞれの休日と仕事』

水曜日。

11人はそれぞれの場所へ向かう。

離れている時間があるからこそ、

帰ってきた時に気づく変化。




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