ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode17
『言えない想い』
― 直接言えないからこそ、言葉にする。 ―
Day:Wednesday(共同生活17日目)
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Scene4
『帰宅』
Wednesday|18:30 PM
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夕方。
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404 HOUSEの玄関が開く。
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「ただいま。」
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チアキの声。
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いつものように、
明るく言ったつもりだった。
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「おかえり。」
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リビングから返事が聞こえる。
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その瞬間、
少しだけ肩の力が抜ける。
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朝からのフライト。
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笑顔で接客をして、
周りに気を配り続けた一日。
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客室乗務員としての時間が終わっても、
体には疲れが残っていた。
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靴を脱ぎ、
荷物を置く。
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「疲れた?」
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声をかけたのはミンギュだった。
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チアキは振り返る。
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「え?」
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「いや。」
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「今日、少し静かだから。」
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チアキは一瞬、
いつものように笑う。
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「大丈夫です。」
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反射的な答え。
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「大丈夫です。」
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でも。
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ミンギュは少しだけ黙った。
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リビング
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チアキはキッチンへ向かう。
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「夕飯、何か手伝います。」
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いつものように。
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誰かの役に立とうとする。
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でも。
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冷蔵庫を開けた瞬間、
少し動きが止まる。
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「……。」
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ほんの数秒。
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でも、
ミンギュは見逃さなかった。
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「チアキ。」
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「今日は座ってていいんじゃない?」
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「でも……。」
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「いつもやってくれてるじゃん。」
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ミンギュは自然に言う。
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「今日は俺たちがやる。」
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その言葉に、
チアキは少し驚く。
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「……。」
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最初の頃なら。
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「大丈夫です。」
と言って、
無理に動いていた。
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でも今は。
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少しだけ、
その優しさを受け取れるようになっていた。
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「……じゃあ。」
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「お願いします。」
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小さな声。
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でも、
それはチアキにとって大きな変化だった。
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キッチン
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ミンギュが料理を手伝いながら、
隣を見る。
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「今日、大変だった?」
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「普通です。」
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また同じ答え。
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ミンギュは笑う。
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「それ。」
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「チアキの口癖だよね。」
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「え?」
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「大丈夫です。」
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「普通です。」
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「問題ないです。」
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「いつも言ってる。」
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チアキは少し考える。
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「……そうですか?」
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「うん。」
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「でも。」
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ミンギュは少し優しい声になる。
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「大丈夫じゃない時も、大丈夫って言う人いるから。」
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チアキの手が止まる。
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数秒の沈黙
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その言葉は、
責めるものではなかった。
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ただ、
気づいてくれた言葉だった。
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「……。」
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チアキは小さく笑う。
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「ミンギュさん、よく見ていますね。」
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「そう?」
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「はい。」
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「たぶん。」
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ミンギュは少し照れながら言う。
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「毎日一緒にいるから。」
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その一言。
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特別な意味はないように聞こえる。
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でも、
チアキの心には少し残った。
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夕食前
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リビング。
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「チアキ、今日疲れてる?」
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スングァンも気づく。
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「顔に出てる。」
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「え、本当ですか?」
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「うん。」
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「でも。」
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スングァンが笑う。
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「前よりは頼れるようになったじゃん。」
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「最初だったら絶対『大丈夫です』って言って働いてた。」
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チアキは少し笑う。
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「……皆さんが言ってくれるからです。」
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ウォヌが静かに言う。
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「頼るのも、相手を信じることだから。」
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チアキはその言葉を見る。
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ウォヌがそんなことを言うことにも、
少し驚く。
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でも、
今の404 HOUSEでは自然だった。
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夜
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チアキは部屋へ戻る前、
リビングを見る。
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誰かが料理をしている。
誰かが笑っている。
誰かが自分の疲れに気づいてくれた。
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「大丈夫です。」
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いつもの言葉。
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でも今日は、
少し違った。
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「大丈夫じゃない時も、ここなら言えるかもしれない。」
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そう思えた。
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【STAFF NOTE】
共同生活17日目。
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一番近くにいる人ほど、
見えないふりをしてしまうことがある。
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「大丈夫」
という言葉の奥にあるもの。
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疲れ。
寂しさ。
我慢。
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それを見つけてくれる人がいる。
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それは、
距離が近づいた証なのかもしれない。
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次回 Scene5
Wednesday|21:00 PM
『404 Diaryの時間』
第4回404 Diary。
テーマは、
「最近、あなたに伝えたいこと」
名前は書けない。
でも、
伝えたい言葉は増えていく。
→
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