ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode17
『言えない想い』
― 直接言えないからこそ、言葉にする。 ―
Day:Wednesday(共同生活17日目)
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Scene6
📖 404 Diary(第4回)
Wednesday|22:00 PM
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404 HOUSE。
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全員の部屋の明かりだけが、
静かに灯っている。
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リビングでは、
いつもなら聞こえる笑い声もない。
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11人がそれぞれの場所で、
一枚の紙と向き合っていた。
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今回のテーマ。
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「最近、あなたに伝えたいこと」
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たった一文。
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でも、
今までで一番難しいテーマだった。
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チアキ
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机の前。
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白いページを見つめる。
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ペン先が止まる。
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今日の出来事が、
頭の中に浮かぶ。
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「大丈夫です。」
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いつものように言った自分。
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その言葉の奥に気づいてくれた人。
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「大丈夫じゃない時も、大丈夫って言う人いるから。」
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その言葉。
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誰かに心配されること。
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誰かに頼っていいと思えること。
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それは、
チアキにとってまだ少し慣れないことだった。
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ペンを動かす。
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『ありがとう。』
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一度書く。
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でも、
すぐに消す。
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「……。」
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違う。
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ありがとうだけでは、
今日感じたものを全部伝えられない。
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もう一度書く。
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『いつも気づいてくれてありがとう。』
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そこで手が止まる。
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誰か一人を思い浮かべたことに、
自分でも少し驚く。
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ミンギュ
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同じ時間。
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ミンギュもDiaryを書いていた。
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テーマを見る。
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「最近、あなたに伝えたいこと。」
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ペンを持つ。
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書く。
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止まる。
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消す。
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また書く。
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普段なら、
思ったことはすぐ口にできる。
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でも。
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この紙には、
簡単に書けない。
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『今日、疲れているのに笑ってたね。』
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そこまで書いて、
少し手が止まる。
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なぜ、
そんなことを書こうとしているのか。
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自分でも分かっていた。
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誰かの小さな変化を、
気にするようになっている。
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以前なら、
「大丈夫?」と聞くだけだった。
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今は。
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「本当に大丈夫なのか」
まで考えている。
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スンチョル
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スンチョルは、
迷うことなく書き始める。
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文章は短い。
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でも、
一文字一文字に重みがある。
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『無理をしなくていい。』
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『一人で抱えなくていい。』
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リーダーとして。
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いつも誰かを支える側だった彼。
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でも最近は、
自分も支えられていることに気づいていた。
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スングァン
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部屋。
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スングァンはいつもの明るい表情ではなかった。
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真剣な顔で、
何度も書き直している。
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「……。」
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普段なら、
誰かを笑わせる言葉はすぐ出る。
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でも、
大切なことほど難しい。
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『いつも明るくしてくれてありがとう』
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ではなく。
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『あなたがいると安心する』
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そう書きたい。
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でも、
それは少しだけ恥ずかしい。
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ウォヌ
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静かな部屋。
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ウォヌは、
長い時間考えた後、
短い文章を書く。
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『変わるきっかけをくれてありがとう。』
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誰かが特別なことをしたわけではない。
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ただ、
一緒に過ごした時間。
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それだけで、
自分が少し変わった。
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その事実を、
初めて言葉にした。
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ソヨン
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ソヨンは、
優しい文字で書いていく。
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『もっと自分の気持ちを大切にしてね。』
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相手へ向けた言葉。
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でも、
どこか自分自身にも向けているようだった。
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22:45 PM
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404 HOUSE。
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誰も声を出さない。
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でも、
それぞれの部屋で、
誰かへ向けた言葉が生まれている。
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好き。
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会いたい。
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特別。
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そんな言葉はまだ使えない。
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でも。
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「あなたに伝えたい」
と思う気持ちは、
もう隠せなくなっていた。
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【STAFF NOTE】
共同生活17日目。
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第4回404 Diary。
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今までのDiaryは、
相手を知るためのものだった。
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でも今回は違う。
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自分の中に生まれた気持ちを、
認めるための時間になっている。
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言葉にできない想いほど、
人は何度も書き直す。
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消して。
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迷って。
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それでも最後には、
届けたい言葉を残す。
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それが、
今の404 HOUSEだった。
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次回 Scene7
Wednesday|返事を書く時間
『ありがとう』だけでは足りない。
でも、
『好き』を書くにはまだ早い。
それぞれが、
伝えられるギリギリの言葉を選ぶ。
→
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