ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―
Episode17
『言えない想い』
― 直接言えないからこそ、言葉にする。 ―
Day:Wednesday(共同生活17日目)
⸻
Scene7
『返事を書く時間』
Wednesday|返事を書く夜
⸻
第4回404 Diary。
⸻
自分の想いを書き終えた後。
⸻
いつもなら、
ここで一日が終わる。
⸻
でも今回は違う。
⸻
スタッフから、
もう一つの封筒が渡される。
⸻
「前回のDiaryへの返事を書いてください。」
⸻
届いた言葉に、
今度は自分が返す番。
⸻
⸻
チアキ
⸻
机の上。
⸻
前回届いたDiaryをもう一度開く。
⸻
短い文章。
⸻
でも、
何度読んでも優しい言葉だった。
⸻
『無理しなくていい。』
⸻
『頑張っていることは、ちゃんと見ている人がいる。』
⸻
誰が書いたのかは分からない。
⸻
でも。
⸻
この言葉に救われた瞬間があった。
⸻
ペンを持つ。
⸻
『ありがとうございます。』
⸻
書く。
⸻
でも、
そこで止まる。
⸻
それだけでは、
足りない気がする。
⸻
少し考える。
⸻
そして続ける。
⸻
『その言葉で、少し頼ってもいいのかなと思えました。』
⸻
⸻
ミンギュ
⸻
ミンギュも、
何度も書き直していた。
⸻
前回のDiary。
⸻
届いた返事。
⸻
相手が誰なのか。
⸻
考えてしまう。
⸻
でも、
今は答えを探すより、
返したい言葉があった。
⸻
『ありがとう。』
⸻
一度書く。
⸻
消す。
⸻
「ありがとうだけじゃないな。」
⸻
小さく呟く。
⸻
そして、
新しい紙に書く。
⸻
『あなたの言葉で、もっと周りを見たいと思いました。』
⸻
⸻
ウォヌ
⸻
ウォヌは、
いつもより長い時間をかけていた。
⸻
以前なら、
短い返事で終わらせていた。
⸻
でも今は。
⸻
言葉を選びたいと思う。
⸻
『自分のことを話すのは苦手だったけど、聞いてくれてありがとう。』
⸻
書いた後、
少しだけ笑う。
⸻
昔の自分なら、
絶対に書かなかった言葉。
⸻
⸻
スングァン
⸻
スングァンは、
ペンを回しながら悩んでいる。
⸻
「難しいな……。」
⸻
いつもなら、
冗談で流せること。
⸻
でも、
大切な相手ほど、
ふざけられない。
⸻
『いつも笑わせてくれてありがとう』
⸻
ではなく。
⸻
もっと本当の気持ちを書く。
⸻
『あなたと話す時間が、最近楽しみです。』
⸻
書いた瞬間、
少し照れる。
⸻
⸻
スンチョル
⸻
スンチョルは、
短い文章を書く。
⸻
『誰かに頼ることも、大切だと思いました。』
⸻
強い人に見える彼が、
少しだけ弱さを見せる言葉。
⸻
⸻
22:30 PM
⸻
404 HOUSE。
⸻
それぞれの部屋で、
返事を書く音だけが響く。
⸻
紙をめくる音。
⸻
ペンが止まる音。
⸻
消しゴムを使う音。
⸻
⸻
「ありがとう。」
⸻
それだけでは足りない。
⸻
でも。
⸻
「好き。」
⸻
そう書くには、
まだ少し早い。
⸻
だから今は。
⸻
伝えられるギリギリの言葉を選ぶ。
⸻
⸻
【STAFF NOTE】
共同生活17日目。
⸻
言葉は、
気持ちを伝えるためだけのものではない。
⸻
自分の気持ちを、
自分で認めるためのものでもある。
⸻
まだ名前は書けない。
⸻
まだ告白もできない。
⸻
でも。
⸻
誰か一人を思い浮かべながら、
何度も書き直した時間。
⸻
それはもう、
ただの共同生活ではなかった。
⸻
次回 Scene8
Wednesday|UNSEEN
Diaryを書き終えたチアキ。
閉じられたページ。
誰にも見せない表情。
スタッフだけが知る、
言葉にならない想い。
→
ノベルに戻る I
Addict